慈善イベントで覚醒、自分はトランスジェンダー

――映画「Just Be Gemma」(カナダで放映・上映、日本での公開は未定)では男性ホルモンを自らに注射し、乳房の切除手術を受ける過程が克明に描かれていますね。

ドキュメンタリー映画「Just Be Gemma」(ピーター・ウォルシュ監督、43分)のポスター(C)Nine Island Communications

「2015年12月にホルモン注射を打ち始め、17年1月に乳房の切除手術を受けたのは、自分が男でも女でもなく、第三の性であるノンバイナリーだと気づいたから。女性であることに違和感があったが、女として生まれ、女として生きてきたので、自分が男だという感覚にもなれなかった」

――自分の本来の性に気づくきっかけがあったのですか。

「実はチャリティーで地元のニューファンドランド・ラブラドール州を徒歩で横断した際、体が自分の気持ちにうまくフィットしていないということを悟った。徒歩を通じて自分の体が徐々に変わるのに伴い、自分の精神も変化してきたのだ。嵐に遭い、美しい虹に入った瞬間、これから自分らしくなるためにトランスジェンダーだと告白しよう。乳房を切除する手術を受け、そしてジェマ(本来は女性名)と名乗り続けようと決意した」

母は当惑、祖母の言葉「ジェマでいい」が映画タイトルに

――周囲の反応はどうでしたか。

「母は私を理解しようとしてくれたが、かなり当惑していたようだ。私を娘として産んだはずなのに、突然、どう呼ぶべきか分からない人間に変わってしまうのだから無理もないことだと思う。一方、母方の祖母は理解してくれた。私が『男女の片方だけを選べないんだ』と伝えると、祖母は『それならジェマでいればいい』と言ってくれた。それがドキュメンタリー映画のタイトルにつながっている」

――なぜ映画の撮影を受け入れたのですか。

「性別で悩んでいる若者たちと自分の経験を共有したかったからだ。自分が何者であるかを見つける旅でもあった。ただ家族だけの試写会で、母がかなり感情的な様子だったのを見た時には心が痛んだ。母はいつも私が社会から精神的に傷付けられないかと心配してくれた。結果として、私は自分の権利を持つことができたし、正直な気持ちを表現することもできた。それはとても良かったと思っている」

うれしかったのはトップレスで水泳、トラウマは神父による性的虐待

――ホルモン注射や性転換手術の経過は。

「男性ホルモンを打ち始めると、声がみるみる低くなり、体毛が生えてくるようになった。背中やすねにも毛が生え始めた。ヒゲが生えた自分の顔はかなり気に入っている。逆に頭髪はやや薄くなってしまったようだ。体も筋トレで鍛えている。注射のおかげで筋肉の付き方が激変した。今ではベンチプレスで250パウンド(約114キロ)のバーベルを上げることができる。ホルモン注射は精神面でも若返る効果があり、2回目の思春期が来た感じだ」

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自分を呼ぶ代名詞は「They」、性別は流動的なもの
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