遺族年金はもらえるか 知っておくべき5つのポイント

ポイント1 遺族なら誰でももらえる? 年収850万円未満、夫もOK

受け取る側には「亡くなった人に生計を維持されている」という条件がある。亡くなった人と同居、もしくは別居でも生活費を送ってもらっていたなどで生計を同一にし、原則として自身の前年の年収が850万円未満を指す。経営者の妻で自らも役員をしているような人は年収の基準に引っかかるかもしれない。ただ「月収にすると約70万円とかなり緩く、たいていの妻は条件を満たす」と社会保険労務士の井戸美枝さんは説明する。いったん受け取り始めれば、年収が850万円を超えてももらい続けることができる。

そのうえで、遺族基礎年金は「子のある配偶者」と「子」が対象になる。子がいなかったり、いても18歳を過ぎていたりすればもらえないわけだ。このため、社会保険労務士の森本幸人さんは「年配の自営業者の多くは遺族年金はないと考えた方がよい」と注意する。遺族厚生年金は優先順位の1位が子のある配偶者と子で、2位が「子のない妻」などとなっている。前述のような事例は珍しく、実際には該当する子がないケースがほとんど。子育てを終えた世代では、夫が亡くなれば後に残る妻がもらうのが一般的だ。

妻に先立たれた夫も該当する。ただし、遺族厚生年金では夫は55歳以上で、もらい始めるのは60歳からという決まりがある。子も妻も夫もいなければ、父母や孫、祖父母が優先順位に応じて受け取れる。妻や夫は事実婚でもOK。遺族年金の手続きをする際には、通常は死亡診断書や住民票、生計維持証明の書類などを年金事務所などに提出するが、事実婚は、これらに加えて結婚を証明する書類が必要になる。

ポイント2 保険料は何年支払う? 原則25年、納付にも条件

2017年8月に老齢年金の受給資格期間が25年から10年に短縮された。これに合わせて遺族年金も10年になったと思っている人もいるだろう。だが、遺族年金は変更なし。65歳を過ぎて老齢年金の資格を満たした人が亡くなっても、保険料納付済み期間(免除期間など含む)が25年に達しなければ支給されない。

被保険者が亡くなった場合はどうか。25年を満たしていれば問題ないが、足りなければ保険料の納付済み期間が全体の3分の2以上、または直近1年間の未納月ゼロといった条件がある。ずっと会社員なら心配ないが、脱サラや転職で勤めていなかった期間が長いと注意が必要だ。現役世代でこれらの条件を知っていれば、その後の就労計画を再考する人もいるかもしれない。

Aさんが20年勤めた会社を辞め、転職を準備していた半年後に事故で亡くなった。すでに厚生年金の被保険者ではなかったので遺族厚生年金は出ない。子は18歳を過ぎていたのでAさんの妻は遺族基礎年金ももらえなかった。国民年金では3年以上保険料を払った人が死亡すると納付月数に応じた「死亡一時金」が出るが、厚生年金に一時金の仕組みはない。Aさんは長く保険料を払い続けたのに、妻は何ももらえなかった。

遺族年金の金額はいくらか。遺族基礎年金は基本額が年約78万円(18年度)で、子の人数に応じた加算がある。一方の遺族厚生年金は亡くなった人の給料や保険料納付済み期間で変わる。「途中、自営業などで国民年金の期間が長いと金額は少ない。一般的には老齢厚生年金の4分の3と覚えておくとよい」(社労士の永山悦子さん)

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