多様性の受容と活用が大事 居心地の悪さは「健全」P&G 研究開発本部 リサーチフェロー 松崎薫氏

松崎薫・P&G研究開発本部リサーチフェロー
松崎薫・P&G研究開発本部リサーチフェロー

管理職として活躍する女性が仕事やプライベート、働き方への思いを自らつづるコラム「女性管理職が語る」。女性管理職が交代で執筆します。今回は、P&Gの研究開発本部リサーチフェロー、松崎薫氏です。

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私は30年近く研究開発に携わってきましたが、大きな課題に対する「存在しない答え」を探しだす旅=イノベーションこそが、研究開発職の最大の魅力だと常に感じています。そしてそのためには、今まで思いつくことがなかった、従来の発想とは違うものを結びつけていくことが重要です。

P&Gでは、「ダイバーシティ&インクルージョン(多様性の受容と活用)」はイノベーションを生み出すために欠かせない経営戦略のひとつとして掲げています。しかしながら、ダイバーシティー(多様性)があれば簡単にイノベーションが生まれるという単純な仕組みではありません。

多様性を本気で組織の中で生かしていくためには、自分の価値観や思い込みをいったん取り払って、相手の立場に立って聞く、見る、考えるという手間を増やし、また自らの意見も丁寧に説明するなど、相手と真摯に対峙することが必要です。

元上司に言われ、私自身も痛感しているのは、「多様性、つまりたくさんの違いがある組織は居心地がよいものではない」ということ。だからこそ大切なのは、その違いを受け止め、お互いに認め合い、尊重し、目的達成のために生かしていく意識的な「インクルージョン(受容と活用)」です。

多国籍チームで働いていると、日本にいるのは自分だけで、残りのメンバーは本社・米国とアジアの研究拠点があるシンガポールということもあります。一緒にプロジェクトを進める中で、他のメンバーが「これはダメだ」という反応をした場合、その言葉尻を捉えるのではなく、その反応の根底にあるものを理解しようとする姿勢が重要です。

他のメンバーは今までの自分の経験や価値観だけでは思いもよらない仮説に基づいた研究設定をしていることも考えられます。他者は異なる文化、異なる概念に基づいているということを肝に銘じる必要があります。