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上場株の贈与、有利なタイミング 4つの価格から選択

2019/2/26

相続税対策のため、10年くらいかけて財産を子どもに生前贈与するつもりです。上場株式の贈与のコツはありますか。

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上場株は現預金などより先に贈与したほうが期待される節税効果は大きい。値上がり益や配当金が直接、子どもに入るようにすれば、その分には相続税も贈与税もかからないからだ。

贈与税にはもらう人1人当たり年110万円の基礎控除がある。株価が日々変動する上場株は、現預金に比べてタイミングが難しいように思えるが、実は計画的な贈与ができる評価方式になっている。

取引所に上場している株式の税制上の評価は、贈与日の終値とは限らない。その月、前月、前々月それぞれの毎日の終値平均を含めた計4つの価格の中から最も低い価格を選べる。

前月、前々月の終値平均はすでに確定しているので、110万円以下になるよう計画的に銘柄を選んだり、贈与する株数を調整したりできる。相場がいったん大きく下がる月があれば、その後に高値圏まで持ち直したとしても、翌々月までは低い評価で贈与できる。

楽天証券では上場株などの贈与が「5年前に比べて約2倍に増えている」(カスタマーサービス本部)という。相続節税のための生前贈与のほか、「銘柄によっては、株主優待をより多く得られるよう家族に名義を分ける投資家が少なくない」(同)。一定の保有株式数に達すると、それ以上優待は増えないからだ。

上場株は、贈与される人の口座が同じ証券会社にあれば、比較的簡単な手続きで贈与できることが多い。野村証券の贈与支援サービス「暦年贈与らくらくパック」は贈与契約書と移管の指示書がセットになっており、最短で申請の翌営業日に手続きが完了する。

他社口座への贈与は証券会社によって扱いが異なり、やや複雑だ。三菱UFJモルガン・スタンレー証券の場合、直接の贈与ができないため、贈与される人がいったん同社に口座を開く必要がある。

損益通算や源泉徴収ができる「特定口座」間の贈与には大きな制約が一つある。銘柄Aの一部だけを贈与したくても、贈与される人がすでに同じ銘柄Aを持っていると、税法の規定で直接移管ができないのだ。銘柄Aの一部ではなく全部であれば贈与できるが、その評価額が基礎控除を超えれば贈与税がかかる。

このため、例えば高齢者が現役時代の勤務先である銘柄Aを毎年、基礎控除の範囲内で子や孫に贈与したいと考えても、2年目以降は贈与される人か贈与する人がもう一つ特定口座を開設し、銘柄Aを迂回させて贈与するなどの工夫が必要だ。証券業界はかねて税制改正を要望しているが、実現していない。

[日本経済新聞朝刊2019年2月23日付]

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