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人事を変えるテクノロジー

2019/2/27

人事を変えるテクノロジー

配属案もデータから 人材伸ばす「取説」も作成

――データは配属などにも使っているそうですね。

「適性検査などのデータを利用し、それぞれの資質を生かせる部署に配属するのがポイントです。営業職なら、どんな領域の営業に向いているか、どの上司と相性がいいか、誰を教育担当にしたらいいか、の3つのマッチングを予測します」

「100人採用したとすると、その全員にとって最良と思われる配置案を、まずデータからつくります。そのうえで、担当者が一人ひとりをみて『合っていない可能性がある』と判断した場合は手直しし、最終決定します」

「一人ひとりに配属の根拠となったマッチングの結果と、どんな育て方が適しているかという『取説』のようなものを付けて送り出します。たとえば、この人は『とにかく営業をやってみろ』というのではなく、営業の手法などをしっかり説明してから現実とすり合わせていく方が伸びやすい、といった内容です」

「始めて約1年なので長期のデータはまだありませんが、離職率はかなり下がっていると思います。現場から『今年の新人は優秀だね』という声が上がっていますが、これはマッチングのおかげだと考えており、成果を実感しています」

HRテックは離職率の低下にもつながっているようだ

「最適配置の進化版として、入社後3年ぐらいまでを組織に慣れるまでの『オンボーディング(乗り込み)』期間ととらえ、サポートしようとしています。3カ月に一度といったように定期的に配属の効果を測定して可視化します。それで適応スピードが遅いなどの課題が見つかれば、配置や指導法を変えられるように準備を進めています」

人生に関わる決定、「説明できる」が大事

――HRテックを導入するのに注意すべき点は。

「大切にしているのは、(データによる)客観性に加える『プラスアルファ』の部分です。AIは意思決定を手伝ってくれるものととらえていて、頼り切るつもりはありません。キャリア形成は、大きくいえば人生を左右するかもしれない意思決定です。それをテクノロジーの支援でより多面的に検討し、人間が処理できる範囲を超えて判断できるようにしているのです。ただ、そこに『気持ち悪さ』があってはいけない。なぜこの結果になったのか、きちんと説明できるシステムにすることには、こだわっています」

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