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なぜ人はスマホでポチッとする 米著名教授が法則解明 『Tap スマホで買ってしまう9つの理由』著者 アニンディヤ・ゴーシュ氏に聞く

2019/3/7

一方で、消費者の行動パターンとして変わらない点もある。それを私は本書の中で、「人間の矛盾する4つの行動パターン」としてまとめています。消費者がモバイル広告の多さにうんざりするのは、広告の大半が自分の興味と合っていないからです。でも「9つの力」をうまく活用した広告は、消費者の目に魅力的に映る。自分であれこれ検索しなくても、「タップ」ひとつで欲しい商品が手に入るのですから。そうやって企業と消費者の間で、ウィン-ウィンの関係が生まれるというわけです。

ゴーシュ氏は「Thinkers50」による将来有望な経営思想家30人にも選出された気鋭の経営学者だ

■プライバシーを守りつつ情報開示するには?

――プライバシー保護と広告への期待のバランスを取ることは、本書でも大きなテーマになっています。消費者の中には、個人情報の開示に抵抗がある人も多いのではありませんか?

企業のサイトに登録するだけでプライバシーを侵害されると考える人もいますが、それは誤解です。消費者は、病歴や学歴、収入といったすべてを企業に教える必要はありません。例えば、全地球測位システム(GPS)を利用したリアルタイムの位置情報は個人が特定されない情報ですが、これを開示するだけでも消費者が得るものは大きい。お気に入りの店に入ったとたん、クーポンがスマホに届くといったラッキーなことが起こるんですから。

――スマホを通じてある程度の情報開示をするのは、得られることの方が多いということですか?

本書のベースとなる調査からも、北米、南米、アジア、ヨーロッパなど、世界中どの地域でも15~44歳のミレニアル世代の多くは、ある程度の情報開示でお得なサービスを受けられることにメリットを感じていることがわかっています。

企業はハッカーではありません。私が関わった優秀な企業は、どこもお客様に喜んでもらえるように必要な情報だけを集めています。個人の顔が見えない「アノニマス」な情報だけをうまく活用し、効果的な広告で結果を出した企業の例は本書の中にいくつも出てくるので、ぜひ参考にしていただきたいですね。

■ウェブ広告とモバイル広告の相乗効果を起こすには?

――モバイル広告を掲載する端末はスマホだけではありません。本書にも、複数の端末に合わせた広告を作り、相乗効果を高めることが購買につながると書かれてあります。具体的な成功例をあげるとしたら何でしょうか?

消費者はパソコンからタブレット、スマホからパソコンと複数の端末で広告を目にした後で、商品・サービスを購入していることがわかっています。

私がこれまで調査をしてきた中で、もっともうまくウェブ広告とモバイル広告の相乗効果を生んでいる企業例は「アリババ」です。消費者がスマホ、タブレット、パソコンをどの時間帯で閲覧し、どんなタイミングで購入しているかを分析することで購買につなげました。また、オンライン広告だけでなく、実店舗を作ったことも成功のキーとなったのでしょう。

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