挑戦に年は関係ない 世界で活躍する日本人女性が語るグローバル・ウーマン・リーダーズ・サミット

日経ウーマノミクス・プロジェクト

2019/2/26

行動見直し女性リーダーに サリー・ヘルゲセン氏講演

最近、「HOW WOMEN RISE」という本を出した(邦訳は日本経済新聞出版社の「コーチングの神様が教える『できる女』の法則」)。同書で伝えたかったのは、女性の振る舞いや習慣が自身の成功やキャリアの上昇を妨げているかもしれないということだ。キャリアの初期は役立ったものかもしれない。だがリーダーシップの発揮を阻む要因となっている。

「コーチングの神様が教える『できる女』の法則」著者 パーソナルコーチ・作家。
30年にわたり女性リーダーの強みの発見と育成などを支援。男女が活躍できる職場づくりを目指す経営陣にも助言してきた。マーシャル・ゴールドスミス氏との共著による新刊「HOW WOMEN RISE」は発売直後から全米ベストセラーランキング入り。米ニューヨーク在住。
女性リーダーの活躍について基調講演する作家のサリー・ヘルゲセン氏

私は30年間、社会や組織のなかで女性に成功してもらうことをゴールにしてきた。なぜ組織の文化や構造ではなく、女性が行き詰まってしまう行動に注目したかというと、自らコントロールし状況を大きく改善できるからだ。ありがちな3つの行動とその克服法について話したい。

まずは「専門性を過大評価する」という悪癖から。キャリアを開発するうえで専門性やスキルは確かに重要だ。しかし、それは一部であり、自分のキャリアをサポートしてくれる人間関係を持っていることや、自身の仕事ぶりを一定程度、「見える化」することが本来は欠かせない。

女性は新しい仕事や職位につくと「6カ月間はこの仕事を学ぶことに注力しよう」などと考え、その後に、ようやく人間関係を築こうとする人が多い。対照的に、男性で成功している人は「この仕事で成功するためには誰が必要か」と仕事の初日からサポートを求める。それによって、より良いサポートを得られるうえ、自分の仕事ぶりも周囲に見えるようになる。

「専門性は十分に報われる」と思うと別の人の昇進で意欲を失うことも。だが、その人は人脈づくりや仕事の「見える化」が昇進理由かもしれない。この悪癖は能力開発の機会を奪いキャリア形成を邪魔する点も注意が必要だ。

2つ目は「完璧主義の罠(わな)に陥る」という悪癖だ。女性は育つ過程で周囲から完璧な行動を期待されがち。組織も、女性が正確で精密な仕事ができると報酬を与え、昇進させる傾向がある。だから女性は、それが昇進の秘訣だと受け取ってしまう。

一方、男性は、より大局的なものの見方や戦略的な考え方、あるいはその人が持つ人脈などで昇進する。必ずしも正確さや精密さを求められているわけではない。女性はそれらで報いられてきた分、より高いキャリアに進もうとする際、問題が起きる。

というのも、完璧主義には多くのマイナス面があるからだ。まず仕事を移譲できなくなり、相手の能力開発を妨げる。本当に細かい部分まで気になってしまうと、リスクをとりたがらない傾向に陥り、高いレベルで活躍できなくなる。組織で働く人のため、そして物事を前進させるためには大局的な観点から大胆な考え方をとる必要がある。

さらに問題なのが、周囲にも自分自身にも、非常に多くのストレスを生んでしまうことだ。誰も完璧主義のボスの下では働きたくない。この悪癖は、高いキャリアになればなるほど問題を招く。

3つ目はコミュニケーションに関するもの。「矮小(わいしょう)化する」「やり過ぎる」といった悪癖だ。

矮小化とは、例えば言葉が足りないということ。「これは重要じゃないと思うんですけれど、でも」といった物言いもそうだ。むしろ明確に自分のポイントを伝えた方がいい。自分のコミュニケーションは自分で築こう。あなたがリーダーなのだから。

部屋に入るときから、「すみません。すみません」というなど慢性的に謝ってばかりいるのも、矮小化の一つ。周囲はあなたを信用してくれなくなる。「彼女は自分の言うことを自分で支持していないようだ。だったら、なぜ、この人の言うことを聞かなければいけないのか」と相手に思われてしまうからだ。

一方、「やり過ぎる」とは、情報があり過ぎ、言葉の使い過ぎ、詳細に至り過ぎといったこと。リーダーとして存在感を高めるには、自分の言動に心を込めて集中することが大事だ。メッセージは明確に、正確に、短く。自分も他人も、ほかのことに気をとられないようにしたい。そうすれば相手も認めてくれる。

これらの悪癖を克服するには、まずは一つを選び、小さく簡単に取り組める部分から始めてほしい。そして「ヒントをくれないか」など周囲に助けてもらおう。自分のリーダーシップ育成で非公式な仲間をつくり、自分が変わろうとしていることを伝えよう。

素晴らしいアドバイスには、「ありがとう」の一言でいい。助言通り全部をやる必要はない。判断はしない、自分を批判し過ぎない、そして、自分に期待し過ぎないことが大事だ。長期的に、振る舞いの変化を起こしている人が最も成功する。

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