2019/2/26

とはいえ、出遅れの理由は他にもあるでしょう。日本企業も平成の30年間の構造改革を経て、財務や収益の面で格段に改善しています。利益を伸ばし、配当も増やしてきたにもかかわらず、時代の波に乗り遅れているイメージから株価が上がっていないのです。結果的にPER(株価収益率)、配当利回りなどの株価指標で見て、きわめて割安に見える銘柄が増えています。

私は中でも「三大割安株」に注目しています。三大割安株とは私がネーミングしたもので、金融株、自動車株、資源関連株を指します。その代表的銘柄と2月20日時点の株価バリュエーションは以下の通りです。

三大割安株の共通点は、高水準の利益を上げているのに将来に対する不安材料があって、株価が割安に放置されているということです。

まず金融株の不安は(1)ITと金融が融合したフィンテックの進化で伝統的な金融機関が不要になる(2)低金利の長期化で利ざやが縮小する――との見通しです。

次に自動車株の不安は(1)電気自動車(EV)の普及でガソリン車が不要になる(2)貿易戦争でターゲットになる――との予想です。そして、資源関連株の不安は(1)化石燃料を追放しエネルギー循環社会をつくる動きが進む(2)資源が供給過剰になり価格が下がる――との見方です。

不安を先取りして株価は安くなりすぎている

確かに、上記に挙げた不安は長期的に考えていかなければならない重要な問題です。ただし、それにしても、私は不安を先取りして株価は安くなりすぎているように思います。

例えば、三菱UFJフィナンシャル・グループや三井住友フィナンシャルグループなど既存金融機関の脅威とされる仮想通貨やキャッシュレス決済はすぐ普及するのでしょうか? 私はそうは思いません。17年まで人気だったビットコインなどの仮想通貨は価格が下がるにつれ人気が離散しました。その結果、分かったのは新しい決済手段として期待されていたのではなく、単に投機の対象として注目されていたという事実です。

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割安株の中に長期投資で報われる銘柄