2019/2/26

仮想通貨はセキュリティー対策やマネーロンダリング対策で、課題を抱えています。ハッカー攻撃を受けて交換業者が巨額の仮想通貨を盗まれるという問題が起こっています。便利ではあるが既存の通貨と同様の安全性が確立されるまでに曲折がありそうです。

キャッシュレス決済も同様です。決済業者は普及させるために何百億円ものコストをかけて体力勝負をしていますが、定着には時間がかかるでしょう。セキュリティー対策でもまだまだ巨額のコストがかかりそうです。一方、既存の銀行システムは柔軟性がなく不便といわれていますが、セキュリティー対策により外部からの攻撃に対する安全性は高いといえます。

割安株の中に長期投資で報われる銘柄

自動車業界も同様です。将来EVがガソリン車を駆逐するといわれていますが、それにはかなりの年数がかかるでしょう。今でもガソリン車は世界中を走っており、年々世界販売台数が増えていく流れは変わっていません。そのガソリン車で強い競争力を有するトヨタ自動車やホンダに対する不安はやや先走りしすぎていると思います。

資源業界も同じことがいえるでしょう。資源ビジネスが人類にとって重要なことは当面変わりません。資源ビジネスで強みを持つだけでなく、非資源ビジネスでも収益を伸ばしている三菱商事や三井物産といった大手総合商社の投資価値は高いと考えます。

私はこの三大割安株の中に長期投資で報われる銘柄が潜んでいると思っています。割安だからといってやみくもに銘柄を買い進むのは好ましくありませんが、時間分散しながら長期で積み立て投資するのがいいでしょう。そして、三大割安株の復活が日本株上昇のカギになるのではないかと考えます。

プロのポートフォリオは運用に精通したプロが独自の視点で個人投資家に語りかけるコラムで、原則火曜日掲載です。
窪田真之
 楽天証券経済研究所所長兼チーフ・ストラテジスト。1961年生まれ。84年慶応義塾大学経済学部卒業後、住友銀行(当時)入行。99年大和住銀投信投資顧問日本株シニア・ファンドマネジャー。2014年楽天証券経済研究所チーフ・ストラテジスト、15年所長。大和住銀では日本株運用歴25年のファンドマネジャーとして活躍した。