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日本人SAKEネゴシエーター 欧州で日本酒売り込む

世界で急増!日本酒LOVE(8)

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NIKKEI STYLE

「欧州のSAKEネゴシエーター」と呼ばれる日本人がいる。日本酒の輸出販売だけでなく、日本食材や技術、伝統工芸品などを欧州各国へ紹介したり販路の拡大を手がけたりするメリディアンパートナーズの上野建太郎代表取締役だ。現在、飲食カテゴリだけで約10社と取引があり、日本酒は約10種類を取り扱っている。日本酒ビジネスは事業全体の3割を占めている。

上野さんはもともと、地方の酒造会社の経営改善に取り組んでいた。日本酒を海外に広めようと決心したのは約6年前のこと。地方の小資本の酒造が生き残るためには、地元での販路拡大に加え、有名でなくてもシェアを狙える欧州マーケットの開拓が必要と気づいたからだ。

「国内の都市やアジア諸国、米国も検討しましたが、どこもレッドオーシャンだと感じました」と上野さん。当時、欧州では日本から進出した酒造会社が少なく、1リットルあたりの日本酒の買い取り単価も高かった。だが、1番の決め手は文化や歴史、哲学などの商品の背景(ワインでいうテロワール)を説明することが、商品の購入動機の上位にくることだった。

「現地で事業をスタートしたら、もうサバイバル・イングリッシュで、ジャスチャーを交えて覚悟を決めていくしかない」(同)と取り組んできて、現在は英国、フランス、スペイン(イビサ島)、スウェーデンで日本酒のビジネスを展開している。具体的には日本酒の販路拡大のための現地レストラン営業や、ホテルなどでの日本酒イベントの開催などを行っている。

欧州では和食の需要が拡大し、日本酒への関心は高まってきている。日本酒の輸出量はここ数年で2桁成長を続けている。

上野さんの会社では3年前に英国のソムリエ協会と業務連携し、同協会のカリキュラムに日本酒の授業を提供している。またスウェーデンのストックホルム料理専門学校で日本酒概要の授業も手がけている。現地のソムリエやレストラン関係者にとっても、日本酒の知識や経験を持つことは1種のステイタスとなりつつあるという。和食好きな人が増えており、日本酒のたしなみはグローバル・マナーの1つとも言える状況だ。

「英国は世界金融の中心地でもあり、欧州最大のマーケットとして進化し続けると思います。欧州で最も日本酒市場の拡大が狙えると思います」と上野さんは断言する。

ロンドンでは、和食店への日本酒の浸透は一巡した感があり、中国料理やモダンブリティッシュなど和食以外の店やバーにも徐々に広がり始めている。英国では健康志向や倫理性の高い飲食(児童労働に支えられてない、など)が注目されており、この動向に日本酒がどう対応していくかが今後のカギになると上野さんは見ている。

「市場(のニーズ)は常に正しい」と話す上野さんは、市場全体の流れを把握した上で、自社のビジネスを柔軟にフィットさせることも大事だと考えている。

英国に次いで有望なマーケットはフランス。パリでは、日本の文化や食に対する好奇心も高く、日本酒のプロモーションをしても非常に反応が良い。「香り・味わい・余韻に個性のある日本酒が好まれます。吟醸香があって、甘めで、やや重いものなどです」と上野さん。最近ではフランス料理店でも日本酒が提供され始めている。

スウェーデンの酒事情はユニークだ。国がアルコールの小売りを管理しており、Systembolaget(システムボラゲット)という小売店だけで販売できる。アルコールメーカーはシステムボラゲットの公募に参加し、採用されれば取引が決まるという仕組みだ(飲食卸は自由競争)。

採用はやや狭き門だが、決まればスウェーデン全土で一気に流通でき、年間約2000リットルの販売が見込めるという。「ストックホルムでは魚料理が多く、塩漬けなど、やや塩味の強い味付けが多いので、国稀佳撰(北海道の国稀酒造)といった辛口の酒が好まれますね」と上野さん。

上野さんはスペインのリゾート地イビサ島へも日本酒を販売している。若者のパーティー・アイランドとして有名なだけでなく、最近では自然と地元の食材を楽しむアグリツーリズムで注目される場所だ。

レストランでも健康や倫理性を重視した食材・料理が求められるという。和食はヘルシーさから親しまれており、和食店が増えるとともに日本酒の需要も拡大している。「日本酒は商品背景やラベルの知名度などが重視されます。カクテル需要もあるので、日本酒よりもユズやウメなどの果実酒の方が人気です」と上野さん。インパクトのある商品名の「夜の帝王(広島県の藤井酒造)」は「ナイトエンペラー」と呼ばれ、喜ばれる酒なのだという。

欧州各国へ日本酒の魅力を伝えるのに大事なことは、日本の蔵元を知り、各国の売り先も良く知ることだと上野さんは考える。例えば蔵元なら、全国の蔵元を何度も訪問して近況を把握するのはもちろん、「蔵元の子供の成長とか、地元のお祭りの付き合い、杜氏(とうじ)の腰痛がひどいとか、食事の好みとか、あらゆる情報をできるだけ収集します」(上野さん)という。上野さんがサポートしてる数は、蔵元単体だけでも約20に上る。

商品の背景や歴史を重視する欧州の取引先が、「あの蔵元の杜氏はフランス料理が好きだから、こんな吟醸酒になるのかも」などと、作り手を思い浮かべて話が盛り上がり商談がまとまることも少なくないからだ。商品のスペックより、記憶に残るストーリーが大事なのだ。

ビジネスマンが日本酒で外国人を接待する時も同じだ。「このレストランのスペシャリテはエビだから、エビが良く取れる地域の日本酒を選んだ」「一度倒産しそうになった酒造会社だが、子供たちが蔵に戻って復活した」「この蔵元はロックが好きだからラベルにギターのマークがある」といった話が喜ばれるという。

日本酒は主食であるコメを原材料に、発酵技術を駆使してシンプルで繊細な作業で生まれている点を伝えたい、と上野さんは語る。「日本を代表する食文化がギュッと詰まっている日本酒は、世界で一番おいしいアルコール飲料だと思います。酒の温度帯や料理とのペアリングで味わいを変え、料理のうまみを引き出す。魚や肉だけでなく、野菜やスープ料理まで合うのは日本酒だけではないかと考えています」

上野さんの夢はさらに広がる。現在は日本の食品・飲料企業と欧州各国をつなぐ事業を手がける。将来は食全体の領域に広げて、日本を中心としたアジア圏と、英国を中心とした欧州圏の橋渡しができれば、と考えている。

(GreenCreate 国際きき酒師&きき酒師 滝口智子)

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