規制の壁は感謝で越える 和製ドライブシェアCREW

須藤 僕自身、Airbnbのホストをやっていたんです。家を貸す側、つまりCREWでいう運転する「クルーパートナー」側ですが、Airbnbの場合、お客さんは部屋を返すとき無償で掃除してくれたりするんです。そうした精神的な充足感みたいなものは日本に合っている、と感じました。「おもてなし」と「ありがとう」が循環する日本人気質に。

小沢 なるほど。「感謝でつながるドライブシェア」か。もちろん日本にタクシー規制があるのは知ってましたよね。

須藤 そこで考えたのが謝礼モデルなんです。

CREWは自家用車に客を乗せたいドライバーと乗客をマッチングするサービス。乗客は走行距離や乗った車の燃費を基に算出したガソリン代などの実費に加え、任意でドライバーへの謝礼を支払う

小沢 謝礼の限界、利益の限界ってどこにあるんですか?

須藤 利益の限界は設けていませんが、CREWで運転するクルーパートナーに対し、ユーザーが間違えて料金を払い過ぎてしまうこともあるので、今は最高でも1万円にしています。

小沢 基本的に、旅客で利益を得てはいけないという規制はあるんですか?

須藤 そうではなく、道路運送法では事業側が料金を設定する場合、「旅客自動車運送事業社」として許可を受ける必要が出てくるのです。ただし「乗り手が任意で自発的にお金を支払う」ことに関しては、許可を受ける必要がないということです。

これまではアプリを使ったドライブマッチング自体に明確な決まりがなかったのですが、18年3月30日に「道路運送法における許可又は登録を要しない運送の態様について」という通達が出されました。同年12月には、国会でCREWに関する答弁が行われ、議員の方々からの質問に対し、国土交通省は「すでに通達に沿った内容でサービスを運営している」と答えていただいています。まずは都心でサービスを展開して実績を積みつつ、地方での実証実験も含めて進めていきたいと思っています。

目標は「地方の移動困難の解決」

小沢 18年8月には鹿児島県の与論島で実証実験を行いましたね(記事「車相乗り、じわり拡大」参照)。実際に稼働したCREWの評判はどうでした?

8月に与論島で地元の観光協会と組み、配車サービスを実証実験した

須藤 かなりの反響をいただきました。というのも与論島の場合、島のタクシーが8台しかないのに対し、観光客は年間7万3000人も訪れますし、特に夏場は多いので。

小沢 7万人を8台で! そりゃパンクするわ。

須藤 実際、クルーパートナーさんたちは、島を盛り上げたい一心で活躍してくださいました。なぜなら、これまでは事実上、旅館の方々が無料で送迎するしか手段がなく、かなりの負担になっていたんです。しかも与論島はガソリン代が1リットルあたり約180円もします。送迎を無料でしていたら、経営的にも厳しいわけです。

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