手軽なシアター全国に 映画で人つなぐ起業家の覚悟MotionGallery 大高健志代表(下)

ポップコーンもスタジオも事業として利益をあげることは考えていない。最初に始めたクラウドファンディングでも、集まった資金から手数料として受け取る料率は10%と、他の事業者で一般的な15~20%より低い。大高氏は「できればもっと引き下げたい」と話す。

求められるのは「公共的なロマン」

映画づくりには「公共的なロマン」が求められる

とはいえ、単純に誰もが「簡単に」クリエーターになれる環境を整えたいと考えているわけではない。むしろ逆かもしれない。

「情報があふれる世の中で、多くの人は客観的な議論よりも、意志の強い主観的な意見に魅力を感じるでしょう。でもその潮流がそのまま、ものづくりやクラウドファンディングに当てはまるかといえば、そうでもないと思っています。不特定多数の人たち、つまり『公』からお金を募るからには、おのずと覚悟と普遍性が求められます」

覚悟と普遍性。それを大高氏は「公共的なロマン」という言葉で表現する。クラウドファンディングはそもそもロマンがないと成り立たない。一方、公に訴えかける覚悟がなければお金を募るべきではないし、そもそも集まらないだろうと考える。モーションギャラリーでもポップコーンでも「実現しようとしているのは、誰もが創作活動に様々な形でプレーヤーとして関わることができる余白づくり。そのためには参加する誰もが満足する、つまり公共的なロマンを持つことが重要だ」という。

次から次にわき上がるアイデアを実行に移す情熱はどこから生まれるのかという問いに「面白そうなことをやりたいだけ、単純です」と笑う。一歩踏み出す秘訣は「最初に情熱の撤退ラインを引くこと」。やりがいを感じられるまではやるという目標を決めて、ダメならやめると考えれば始めやすくなる。東京芸大の大学院も2年間は通うと決めていたから、フランス留学への道が開け、起業する覚悟を得られた。

大学院入学から1年ほどして、コンサルで働いてためたお金が尽きかけてきたとき、切り詰めるのが一番嫌だったのが「映画と本だった」。あらためて自分のやりたいことが確認できた。その思いは今も変わらない。

(村上憲一)

管理職・ミドル世代の転職なら――「エグゼクティブ転職」

5分でわかる「エグゼクティブ力」
いま、あなたの市場価値は?

>> 診断を受けてみる(無料)

「エグゼクティブ転職」は、日本経済新聞社グループが運営する 次世代リーダーの転職支援サイトです

NIKKEI 日経HR


マネジメント層に必要な4つのスキルを鍛える講座/日経ビジネススクール

会社役員・経営幹部の方を対象とした、企業価値を高める経営の実務に役立つビジネス講座を厳選

>> 講座一覧はこちら

今こそ始める学び特集
ブックコーナー ビジネス書などの書評はこちら
注目記事
今こそ始める学び特集
ブックコーナー ビジネス書などの書評はこちら