手軽なシアター全国に 映画で人つなぐ起業家の覚悟MotionGallery 大高健志代表(下)

事業を始めたのは、地域コミュニティーに詳しいナカムラ氏から「地方では人が集まるきっかけとして映画が求められている」という話を聞いたのが発端だ。「全国各地で映画館が消えているのに、映画は求められている。この矛盾は何だと思ったんですね」

映画館は消えているのに、映画は求められている

自分たちで上映会を開くことに意味がある

よく聞いてみると、地方では映画館がショッピングセンターなどに集約され、車がない人は行きづらい。でも映画は誰かと一緒に見たいし、できれば感想なども語り合いたい。一方、地域の活性化に携わる若い人たちが増えており、仲間を増やす手段として映画に注目している。

「それなら、人が集まりやすいカフェやゲストハウス、オフィスなどで手軽に上映できれば、映画を見たい人、地域の魅力を高めたい人、映画を作って見せたい人、三方よしではないかと。意気投合して会社設立に至ったわけです」

クラウドファンディングの事業と共通する部分も感じた。映画館で映画を見るのでなく、自分たちで場所を探し、上映に必要な装置を準備し、人集めをする。「その準備自体を楽しむ。自分事にすることで作品に対する愛着が深まる。これはクラウドファンディングと全く一緒であり、(動画配信サービスの)ネットフリックスでは絶対に得られない体験じゃないか」と指摘する。

もう一つの共通点は、新しいコミュニティーが生まれることだ。カフェやゲストハウスに集まるのはデザイナーや編集者などクリエーターと呼ばれる人が多い。「普段はあまり映画を見ないかもしれないが、アートに対する感度は高いという人たちが同じ映画を見たとき、どんな化学反応が生まれるか。想像するだけでワクワクしませんか」

さらに大高氏は18年、Motion Gallery Studio(モーションギャラリー・スタジオ)という取り組みも始めた。映像の企画制作からプロデューサー業務まで担当し、映画・映像製作を一気通貫でサポートする。

すでに何本か製作を手掛けており、玉田真也監督が自身の舞台作品を映画化した「あの日々の話」は、18年10~11月に開かれた東京国際映画祭の日本映画スプラッシュ部門に正式招待された。「有望だが、まだスポットライトが当たっていない才能と一緒に世界に旗を立てていきたい」と力を込める。

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