手軽なシアター全国に 映画で人つなぐ起業家の覚悟MotionGallery 大高健志代表(下)

大高健志 モーションギャラリー代表
大高健志 モーションギャラリー代表

映画の製作費をクラウドファンディングの手法で集めるサイトを2011年に立ち上げたMotionGallery(モーションギャラリー、東京・港)の大高健志代表。その後、地域の様々なスペースで映画を手軽に上映できるサービスや、プロデュース面でも映画製作を支援する取り組みなど、次々に事業を広げてきた。受け身でなく、主体的に映画に携わる人を増やすことで、日本に良質な映画文化を根付かせていく――。思いはつながっている。(前回の記事は「大ヒット映画『カメ止め』 製作費集めた起業家の志」)

上映会の後にダンスワークショップも

2月のある日曜日の昼下がり。東京都文京区にあるコミュニティースペース「さきちゃんち」で、毎月定例の上映会が開かれた。普段は子育て世代が集うスペースにプロジェクターとスクリーン、スピーカーが置かれ、その前にはソファやこたつ。子供を連れた母親をはじめ、年齢もバラバラな男女10人ほどが集まった。お茶とお菓子付きで料金は1人1500円だ。

親子連れもくつろいで映画を見られる「さきちゃんち」での上映会(東京・文京)

上映されたのは野中真理子監督の「ダンスの時間」。ダンサーの村田香織さんがレッスンする風景や、母親を介護する日常を追ったドキュメンタリー風の作品だ。見終わった後は、近所で母子向けにヨガを教えたり読み聞かせをしたりする首藤響子さんを講師に、みんなで簡単なストレッチやダンスで体を動かし、感想や意見を交わした。

「子育て中の母親がくつろいで映画を見られるようにと始まった」と、さきちゃんちで上映会を担当する中村果南子さん。アニメ映画の後はコマ撮りの映像を作るワークショップを開催するなど、毎回趣向をこらす。初めて参加したという女性は「単に映画を見るだけでなく、体を使ったコミュニケーションもできて楽しかった」と笑顔を見せていた。

上映会で流す映像をインターネット経由で提供したり、参加者をサイト上で募る仕組みを運営したりしているのが、ポップコーンシアター(東京・江東)だ。大高氏と、求人サイトの運営などを手掛けるナカムラケンタ氏が16年に共同で設立した。

上映会を開きたい人は同社が運営するサイト「Popcorn」に場所や日時などを登録。上映する映画は同社が権利処理などを済ませた約150作品の中から選べ、通常なら1回数万~数十万円する費用を安く抑えられる。さきちゃんちのように登録済みの上映場所は全国で200カ所を超え、これまでに延べ約5500人が来場したという。

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