難問続出、記者もお手上げ? エコノミクス甲子園熱戦、高校生金融クイズ全国大会

優勝した福井県立藤島高校のチームにはニューヨーク・ボストンの研修旅行が贈られた

全国の高校生が、金融や経済の知識を競うクイズ大会「全国高校生金融クイズ選手権 エコノミクス甲子園」をご存じだろうか。各地の金融機関などが後援し、今回で13回目を迎えた。2月17日に開かれた全国大会では、地方大会を勝ち抜いた精鋭が集まった。「高校生たちに負けるわけにはいかない」と、日経ヴェリタスの記者もクイズに挑戦してみた。

大学生レベルの経済学用語が次々と

全国大会当日。会場となった都内のホールは、午前中から熱気に包まれていた。2人1組、46チームが最初に挑んだのは早押しクイズだ。

「トリクルダウン理論」や「ジニ係数」など、大学生レベルの経済学用語が次々に飛び出す。問題文の途中で正解を答える高校生の姿に、客席からは驚き交じりの歓声があがった。

この大会を主催するのは、NPO法人の金融知力普及協会(東京・中央)だ。大会に先立つ2月上旬、NPOのオフィスを訪ねると、ボランティアの大学生たちが当日の打ち合わせを念入りに行っていた。

大会に出場した経験があるOBやOGが決勝戦の問題を作成した

ボランティアの学生もまた高校時代に、エコノミクス甲子園に参加したOB・OGたちだ。クイズ問題の作成から当日の大会進行、出場者の誘導といった運営全般を大学生スタッフが担当している。

記者、正解は全15問のうち7問

ヴェリタス記者(35)も、高校生と同じクイズに挑戦してみた。全国大会の決勝戦で出された問題に、制限時間内に回答をパネルに書き込むスタイルで実践してみた。

まず第1問。

「一般に一年で最後の取引日のことを何という?」

迷わず「大納会」と回答する。もちろん正解だ。幸先のよいスタートに安堵する。これなら、全問正解も夢ではないのでは? そんな楽観的な思いも浮かんでくる。

続く2問目。

「不正な証券取引を監視し、摘発する行政組織は?」

記者の回答は「金融商品等監視委員会」。しかし、読み上げられた正解は「証券取引等監視委員会」だった。誤りを告げるブザー音が鳴り響く。どうやらニューヨーク行きが目の前にちらつき、冷静さを失っていたようだ。

結局、全15問のうち7問に正解。「制限時間内に答えなければ」とのプレッシャーがかかるため、迷わずに答えを書き始めるのは意外に難しい。間違えた直後はなおさらだ。

正解を聞くと、知っている言葉がほとんどだったものの、とっさに出てこない。冷静さを保ち、本番で実力を発揮することは簡単ではないと身をもって実感した。

「甲子園」の名前が示す通り、全国大会に参加するのは地方大会を勝ち抜いた代表チームだ。地方大会は地方銀行など地域の金融機関が主催し、全国大会でも地銀の行員らが応援やサポート役を務める。

若者の金融知識の底上げが狙い

全国大会のスポンサーには各地の金融機関が名を連ねるほか、内閣府や金融庁も後援する。狙いは若者の金融知識の底上げにある。メインスポンサーのマニュライフ生命保険の吉住公一郎社長兼CEO(最高経営責任者)は「いまの学校教育は金融や経済に興味を持てる仕組みになっていない。大会を通じて興味を持ってもらえればいい」と話す。2022年には民法が改正され18歳が成人年齢となり、親の同意なくクレジットカードや、ローンの契約ができるようになる。高校生のうちに金融知識を身につける意味は大きい。

決勝ラウンドは8チームが熱戦を繰り広げた

決勝ラウンド。最終問題まで決着がもつれ込む接戦となった。優勝したのは福井県代表の福井県立藤島高校だった。藤島高校2年の坪田実那美さん(17)は「大会でたくさんの高校生と出会えて刺激を受けた。うれしかったし、参加してよかった」と話す。

優勝チームにはニューヨークとボストンを巡る研修旅行がプレゼントされた。本家の甲子園さながらの激闘をきっかけに、熱戦を繰り広げた高校生たちが「経済のメジャーリーガー」として活躍する日は近いのかもしれない。

(古賀雄大、斎藤正弘)

次ページに決勝戦で出題された全15問を掲載しています。
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