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英国で人気のスパークリング 本家フランス上回る味?

2019/2/27

1980年代、英国初のスパークリングワイン専門ワイナリーとして設立されたナイティンバーのワイン 2006年から現オーナーとなり、さらに大きく評価を上げる 同社のワインはいずれもびん詰めされてから3~5年の熟成を経て出荷される

英国の酒といって誰もがまず思い浮かべるのはウイスキーやジン、ビールだろう。ところが近年、ここに新しく加わり急激に評価を上げている酒がある。スパークリングワインだ。

北海道より高い緯度に位置する英国は糖度が上がらないためブドウの産地には適せず、長らくワイン界では世界有数の輸入国として知られるばかりだった。第2次世界大戦後の1952年には英国初の商業ワイナリーと言われるハンブルドンが登場するなど、涼しい気候で育ちやすいドイツ系のブドウ品種が植えられるようになるが、「当時は世界的にフレッシュでフルーティー、ほんのり甘いワインがもてはやされた時代。おそらく主に国内向けのワインが造られたのでしょう」(英国王室御用達のワイン商ベリー・ブラザーズ&ラッド日本支社セールス・エグゼクティヴ、佐藤正樹さん)と言い、国際市場で高い評価を得るようなワイン造りには結び付かなかったようだ。

風向きが変わったのは1980年代。米国人夫婦が英国南部のウエストサセックス州にスパークリングワイン専門のワイナリー、ナイティンバーを設立したのだ。1988年に同ワイナリーが植えたブドウの樹はピノノワール、シャルドネ、ムニエ種というフランスのシャンパンに使われる3品種。そして、10年後には同ワイナリーのスパークリングワインが、国際的な酒類の品評会「インターナショナル・ワイン&スピリッツ・コンペティション(IWSC)」で初めてトロフィーを獲得する。

英国らしい牧歌的なナイティンバーのワイナリー 現在、英国南部のハンプシャー、ウエストサセックス、ケント県に畑を持つ

実は、ナイティンバーやハンブルドンのある英国のサセックスやハンプシャー州は、シャンパンの産地シャンパーニュ地方で高品質のブドウが育つエリアと同じ白亜紀の石灰岩土壌。シャンパーニュとは、英仏を隔てるドーバー海峡の下を通り「地続き」だと言われている。つまり、スパークリングワインに適したブドウが育つ素地があったというわけだ。加えて、地球の気候の変動が英国のワイン界をさらに大きく変えていく。温暖化により、以前に比べブドウの糖度が上がるようになったのだ。

「英国のスパークリングワイン業界が大きく成長する契機となったのが2003年と言われています。この年ヨーロッパを熱波が襲い、寒冷な土地である英国でもかなりしっかりブドウが熟しました。品評会で賞を取るようなワインが出てきていたこともあり、スパークリングワイン造りに熱い視線が注がれるようになったのです」(佐藤さん)。

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