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宇宙、安全保障面で脚光 米中ロに続き日本も乗り出す

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NIKKEI STYLE

宇宙を巡る安全保障上の関心が急速に高まっています。米国は1月発表した「ミサイル防衛の見直し(MDR)」で、ロシアや中国の極超音速ミサイルなどへの宇宙空間を活用した防衛強化を打ち出しました。米国は中国が近年急ピッチで宇宙開発を進めていることも警戒しています。日本も昨年12月に決定した防衛計画の大綱(防衛大綱)と中期防衛力整備計画(中期防)でサイバー空間と並んで宇宙での防衛強化をうたいました。

宇宙開発ではここ数年、小型衛星や宇宙旅行ビジネスなど宇宙ベンチャー企業の活動が活発で、従来の政府主導に代わる民間主導の宇宙開発を意味する「ニュースペース」の時代が到来したといわれています。ただ同時に宇宙空間を安全保障面で重視する流れも強まっています。

この理由について防衛省防衛研究所の福島康仁研究員は「現代の軍事活動が宇宙の利用無しでは成立しなくなったほか、宇宙を巡る大国の対立の構図が変化した」と考えています。

全地球測位システム(GPS)衛星で誘導するミサイルや部隊の展開、ドローン(無人偵察機)による情報収集など、今や軍事行動に宇宙利用は欠かせません。また、冷戦期までは衛星による核ミサイル監視など軍備管理面で宇宙の役割が大きく「こうした秩序をあえて壊すような行動は米ソ共に自制していた」(福島氏)といいます。

ここに割り込む形で新たな宇宙大国として台頭したのが中国です。ソ連、米国に続き2003年に有人宇宙飛行に成功。独自の宇宙ステーション建設を計画し、1月には初めて月の裏側に探査機を着陸させました。昨年12月に中国版GPS「北斗」が全世界で運用を開始。過去には人工衛星をミサイルで破壊する実験にも成功しています。こうした動きを米国が警戒していることは間違いありません。

また、ロシアや中国が開発中の音速の5倍以上の速度で飛行する極超音速ミサイルは、現行のミサイル防衛システムでは迎撃が困難とみられています。米国は早期の探知・追跡能力を高めるため宇宙への警戒センサー網の構築を検討するなど、新たな対応を迫られています。

日本は中期防で航空自衛隊に宇宙領域の専門部隊を設け、宇宙空間の状況を常時監視する体制を構築する計画です。宇宙の安定的な利用を脅かす宇宙ごみや使用済み衛星の監視も重視しています。昨年末改定した宇宙基本計画の工程表では「防衛大綱や中期防との連携」を打ち出しました。小惑星探査機「はやぶさ2」などで勢いづく日本の宇宙開発ですが、安全保障面でもその実力が試されようとしています。

福島康仁・防衛省防衛研究所研究員「防衛上、宇宙は不可欠の領域」

宇宙の軍事利用はどのように進んできたのか、また米国やロシア、中国などは今後宇宙をどう利用しようとしているのか、安全保障問題や宇宙政策に詳しい福島康仁・防衛省防衛研究所研究員に聞きました。

――宇宙開発が始まった当初から軍事利用の要素があったと思いますが、近年その傾向が強まっているのでしょうか。

「宇宙開発は1957年のソ連の人工衛星打ち上げ以降本格化した。東西冷戦期の米国とソ連の衛星は大半が軍事ないしは軍民両用目的だったといわれている。その後宇宙利用はさらに拡大し、軍事だけでなく経済・社会面での利用も活発化している」

「軍事面では91年の湾岸戦争を契機に新たな潮流が生まれ、米国を中心に陸海空の作戦への宇宙の組み込みが進んでいる。GPS衛星を使って爆弾を誘導するなど、宇宙利用は不可欠なものとなった。さらに経済・社会活動の面でも、GPSが社会基盤になるなど宇宙への依存が強まっている。こうした中で、宇宙の安定的な利用を妨げる脅威が顕在化してきたため、安全保障の観点から宇宙への関心が高まっている」

――どのような脅威ですか。

「2種類の脅威がある。一つは非意図的な脅威。衛星や宇宙ごみが増え、宇宙空間が混雑してきたことだ。宇宙ごみは、衛星や宇宙ステーションに衝突する危険がある。また衛星同士で電波が干渉するリスクも高まっている」

「もう一つは意図的な脅威だ。宇宙利用を妨害する能力を新たに獲得したり、実際に使用したりする国が登場している。米国の目には、中国やロシアはそのような国と映っている。中国は2007年に衛星破壊実験を行い、その後も開発を継続している。ロシアはウクライナやシリアでGPSのシグナルを地上付近で妨害しているといわれている。宇宙を当たり前のように利用できる時代は終わり、宇宙の安定利用を維持するための対応が必要になった」

――米国は1月発表した「ミサイル防衛の見直し」(MDR)で、宇宙空間を活用したミサイル防衛の強化を打ち出しました。

「米軍は現在も弾道ミサイルの探知に衛星を使っているが、(ロシアや中国が開発している)極超音速兵器を探知・追尾するには、低い軌道に多数の衛星を配置する必要があると考えている。さらに宇宙からのミサイル迎撃に関して検討を行う方針をMDRで示した。ミサイル迎撃用の衛星を宇宙に配備するというのは、米レーガン政権時代の戦略防衛構想(スターウォーズ計画)を連想させるが、コストや技術面の課題が多い」

――中国の宇宙開発をどう見ていますか。

「中国の宇宙開発の目的は包括的で、軍事利用はもちろん、経済活動や政治・外交のためでもある。あらゆる目的を念頭に宇宙を利用し尽くそうという姿勢だ。対衛星(ASAT)兵器開発に最も注力しているのは中国で、これが宇宙の安定的な利用を脅かしかねないとの懸念を生んでいる」

「この点、冷戦期の米ソの宇宙を巡る関係とは違いがある。米ソは核ミサイル攻撃の抑止や軍備管理の検証作業のため衛星を利用している。相手国の衛星を攻撃することは核戦争を始める準備と受け取られかねなかった。このため米ソ間ではお互いに宇宙利用を妨害するのはやめておこうという緩やかな了解があったともいわれる」

「ところが今の米中関係を考えると、検証に衛星を使うような軍備管理の取り決めがあるわけではない。むしろ中国から見ると、米国は作戦面での宇宙依存を深めているため、いざという時は宇宙利用を妨害することで米軍の作戦全体に影響を与えようというインセンティブが出てくる」

――日本は宇宙の安全保障にどう取り組むのが望ましいですか。

「宇宙の安定的な利用を確保する観点から、宇宙ごみを大量に出すような活動を抑制するよう国際的に働きかけることは重要だ。国際条約を作るのは難しいかもしれないが、外交を通じて各国の実質的な合意を促すなど規範作りを進める必要がある」

「防衛当局の対応としては、新しい防衛計画の大綱(防衛大綱)にあるように、宇宙状況監視(SSA)の活動に力を入れていくことになる。レーダーや望遠鏡を使って人工衛星や宇宙ごみの状況を把握する。防衛大綱には『平時から有事までのあらゆる段階において宇宙利用の優位を確保するための能力の強化に取り組む』とある。防衛上、宇宙は不可欠な領域であり、情報収集や警戒監視、通信、測位といった機能をどんな状況でも維持できるようにすることが念頭に置かれている」

(編集委員 吉川和輝)

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