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若手リーダーに贈る教科書

客のストレスに向き合え 激動アパレルの勝者は 斉藤孝浩著 『アパレル・サバイバル』

2019/2/23

ITの進歩はアパレル業界にも変革を促す

ここ10年ほどのファストファッションブームの立役者「H&M」の日本1号店、銀座店が2018年夏に閉店した。背景には、先進国での衣料品販売がネット通販に押されている事情がある。米アマゾン・ドット・コムなどIT(情報技術)企業がファッション分野でも勢力を伸ばすなか、勝者として残る条件は何か。今回の書籍『アパレル・サバイバル』は、欧米の話題企業やサービスを紹介しながら、未来を開く戦略を示す。

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斉藤孝浩氏

著者の斉藤孝浩氏は、1965年生まれ。総合商社や欧州ブランドの日本法人、アパレル専門チェーンなどを経て、ファッション流通コンサルタントに。現在はディマンドワークス(東京・港)の代表を務めます。著書に『ユニクロ対ZARA』(日本経済新聞出版社)などがあります。

■客のクローゼット、つかむのが勝者

著者は冒頭で、10年後のある女性のファッションにまつわる日常を描きます。彼女のスマートフォン(スマホ)にはクローゼット管理アプリが入っていて、外出するときは人工知能(AI)が目的に合わせて服をコーディネートしてくれます。足りないアイテムがあれば、お気に入りの店の新作をすぐ注文できるし、着ない服を売るのも簡単です。

洋服を買うのは楽しい半面、手間も時間もかかります。着ていく服を選ぶのに悩むこともあるでしょう。そうしたストレスをITで徹底的に減らすのが、10年後の生活というわけです。そんな時代に適応するには、顧客の信頼を得て「個人情報をどれだけ預けてもらえるかがカギになる」と著者は述べます。

彼女のクローゼットの中のワードローブ情報は究極の個人情報であり、極秘のプライバシーです。そんな大切な情報を、お客様が信用するファッションストアやファッションサイトだけを選んで共有する時代がやってくるのです。果たして、そうした大切な情報を共有していただける信頼関係が築けるか? それが、未来のファッション流通企業の生き残りのカギ、本書のタイトルである「アパレル・サバイバル」の答えに他なりません。
(Her Story 10年後のファッション消費の未来 17ページ)

■ストレス排除、買い物をスマートに

欧米の小売店では、ITを使って手間を減らし、快適な買い物を実現するスマートショッピングの取り組みも始まっています。

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