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「白血病」ってどんな病気 急性と慢性の違いは?

「急性骨髄性白血病」について知ろう

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NIKKEI STYLE

日経Gooday(グッデイ)

競泳選手の池江璃花子さんが白血病と診断されたことを公表しました。池江さんが発症した白血病について詳細は明らかにされていませんが、この記事では日本の成人で最も多い「急性骨髄性白血病」について、聖路加国際病院血液内科部長の森慎一郎先生に解説していただきます。

急性骨髄性白血病とは?

白血病は、「血液のがん」といわれています。骨髄にある血液の工場「造血幹細胞」から、分化・成熟した血液細胞(白血球、赤血球、血小板)が作られる過程で、遺伝子に何らかの異常が起こることで細胞ががん化し、無秩序に増殖する病気です。

白血病は病気の状態から呼び名が変わります。未熟な細胞が増殖するのが「急性」、分化した細胞の増殖が抑制できなくなっているのが「慢性」です。感染症や生活習慣病のように、急性(急激に症状が始まる)から、慢性(長期間症状が持続する)に移行することはありません。

【白血病における慢性・急性の意味】

「急性」未熟な状態の細胞が増えること
「慢性」分化した細胞の増殖が抑えられないこと(ただし、分化していても正常な血球と同等の機能は果たせないことが多い)

さらに、細胞の種類によって「リンパ性」「骨髄性」に分けることができます。Bリンパ球やTリンパ球になる細胞ががん化するのが「リンパ性」、リンパ球を除く、赤血球・好中球・好酸球・血小板などになる細胞ががん化するのが「骨髄性」です。

【白血病におけるリンパ性・骨髄性の意味

「リンパ性」Bリンパ球やTリンパ球になる細胞ががん化すること
「骨髄性」リンパ球以外の赤血球・好中球・好酸球・血小板などになる細胞ががん化すること(骨髄を指しているわけではない)

白血病は患者さんの病気の状態と細胞の種類から、「急性骨髄性白血病」「急性リンパ性白血病」「慢性骨髄性白血病」「慢性リンパ性白血病」の4つに大別されます。

日本の成人の場合、急性と慢性では急性のほうが多く、急性の白血病では約70%が骨髄性となっています。ここでは日本の成人の白血病で最も多い「急性骨髄性白血病」について解説していきます。

貧血や発熱、出血傾向からの発見が多い

急性骨髄性白血病の発症率は、1万人に1人程度の割合といわれています。40代から発症率が上がり始め、60代~70代が最も多くなっています。統計では男性のほうがやや多い傾向があります。

原因は明らかになっておらず、人での発症のリスク要因として認められているものもありません。放射線被ばくが白血病のリスクを高めると示唆されることがありますが、急性骨髄性白血病ではそのリスクは確認されていません。人から人への感染や体質の遺伝なども認められず、誰でもなり得る病気といえます。

急性骨髄性白血病では、がん化した異常な細胞(白血病細胞)が無秩序に増殖するため、正常な血液細胞が作られなくなることによる初期症状が現れるのが特徴です。例えば、正常な白血球の減少では感染による発熱、正常な赤血球の減少では貧血による動悸や息切れ、倦怠感、正常な血小板の減少ではあざや赤い点状の出血斑、鼻血、歯茎からの出血といった傾向が見られます。

そのため、のどの痛みを伴う発熱や、抜歯のあとに出血が止まらないといったケースで受診して、血液検査で異常な白血球の増加や血小板の減少、貧血などの所見が見つかり、診断に至るケースが多くなっています。

胃がんや大腸がんといった多くのがんでは、治癒するためには、早期での発見が重要です。一方、急性骨髄性白血病の場合は、診断された時点で全身の血液に白血病細胞がめぐっているため、「早期」という概念がありません。あえていえば、診断がついたときには、ほかのがんでいう「ステージIV」ということになり、直ちに治療を始める必要があります。

しかし、急性骨髄性白血病の多くは、後述する抗がん剤による治療効果が高いため、約80%は寛解(症状や検査で異常が確認できない状態)に入る可能性が期待できます。

急性骨髄性白血病の検査と診断

急性骨髄性白血病の診断で行われる主な検査は、血液検査と骨髄検査です。

血液検査で血液細胞の異常が認められると、骨髄検査も行います。骨髄検査では、局所麻酔をしてから腸骨(腰の骨)などに針を刺して、骨の中にある骨髄液を注射器で吸引します。採取した骨髄液の中に含まれる細胞を、顕微鏡で詳しく調べます。骨髄検査は診断のほか、治療開始後に治療効果を確認するためにも行われます。

急性骨髄性白血病がんの病期(ステージ)/分類

がんには進行の程度を判定する目安に「病期(ステージ)」がありますが、前述した通り、急性骨髄性白血病では、発症時には全身の血液に白血病細胞がめぐっているため、病期分類はありません。

治療方針を決定するうえでは「病型分類」があり、白血病化した細胞の系統・形態によって分類する「FAB分類」(1970年代に提唱)、さらに染色体異常や遺伝子変異などの病的因子を重視して分類する「WHO分類」(2000年代に提唱)の2つが国際的に用いられています。

近年ではWHO分類が主流になりつつありますが、詳しく記すのは難しいため、ここでは従来基本となってきたFAB分類によるM0からM7の8つの病型名をまとめておきます。

急性骨髄性白血病の治療

急性骨髄性白血病では、M3タイプの急性前骨髄球性白血病を除き、治療法が共通します。第一の治療法は抗がん剤を用いた化学療法で(小児と65歳以上を除く)、後述する「寛解導入療法」を行ったあと、「地固め療法」という2段階で治療を進めます。

遺伝子の異常のタイプなど予後が不良と考えられる要因がある場合は、寛解に入ったあとに地固め療法の一環として、造血幹細胞移植が行われる場合もあります。また、寛解から再発した場合にも、造血幹細胞移植が検討されます。

【寛解導入療法】

急性骨髄性白血病と診断された場合、10の12乗個程度の白血病細胞が存在しています。これを10の9乗程度まで減少させなければ、正常な血液細胞は増えてきません。10の9乗程度になると、骨髄検査をしても白血病細胞が見つからなくなる「寛解」に入り、造血機能が回復します。

寛解導入療法は、抗がん剤を用いた化学療法(シタラビンとアントラサイクリン系の薬剤の組み合わせが一般的)により、白血病細胞を寛解まで劇的に減少させる治療法です。通常、7日間程度かけて、抗がん剤を投与します。その後は2週間から4週間程度、治療によって減少した白血球や血小板が回復するのを待ってから、骨髄検査で寛解状態かどうかを確認します。

【地固め療法】

寛解導入療法で寛解に入っても、10の9乗個程度の白血病細胞は存在しているため、再発する可能性があります。そこで、白血病細胞を限りなくゼロに近づけ、治癒を目指す治療法が地固め療法です。

計算上は、1度の化学療法で10の3乗個程度の白血病細胞が減少するため、寛解(10の9乗個程度)からさらに白血病細胞を減らすためには、最低3回の化学療法を行います。1回の化学療法のあとは白血球や血小板が回復するまで間隔を空ける必要があるため、すべての治療を終えるまでには半年程度かかります。地固め療法が終了したあとは、毎月1度など定期的に外来を受診し、血液検査で経過を観察していきます。

治療効果は、骨髄中の白血病細胞の数から判定します。急性骨髄性白血病の治療では、白血病細胞の数が10の9乗を下回った場合を「寛解」と呼びます(図2中、オレンジの横線)。ところが、寛解と判断された後でも、再びがん細胞が現れることがあり、これは再発・再燃と呼ばれます。再発するケースのほとんどは2年以内に見られるため、寛解から5年ほど経てば、治癒したとみなされます。

●完全寛解

骨髄の中の白血病細胞がほぼ減少し(10の9乗未満)、造血機能も回復した状態。体内には白血病細胞が残っている可能性がある。

●血液学的完全寛解

骨髄の中の白血病細胞が顕微鏡検査で目視できず、血液検査で白血球・赤血球・血小板の数が正常範囲内にある状態。体内には白血病細胞が残っている可能性がある。

●分子学的完全寛解

白血病細胞が持つ染色体異常(遺伝子変異)を目安にして、より精密に検査をしても白血病細胞が見つからない状態。この状態でもなお、体内には白血病細胞が残っている可能性がある。

【抗がん剤による副作用】

急性骨髄性白血病の化学療法では、強力な抗がん剤で一気に白血病細胞を減少させるため、脱毛、吐き気や嘔吐、口内炎、下痢といった副作用が生じます。しかし、かつては多くの患者さんが吐き気や嘔吐を訴えていたものの、制吐剤などにより、苦痛を軽減できるようになっています。

【造血幹細胞移植】

造血幹細胞移植は、通常の化学療法よりも大量の抗がん剤治療や放射線治療を行うような場合に検討されます。そのような場合には、白血病細胞を限りなくゼロに近づける一方で、正常な血液細胞も死滅し、血液が作れなくなってしまいます。そこで、正常な造血幹細胞を移植して、造血機能を回復させるのです。

造血幹細胞移植には骨髄移植、末梢血幹細胞移植、さい帯血移植があり、移植する造血幹細胞の提供者(ドナー)は自分自身、兄弟姉妹などの血縁者、骨髄バンクなどに登録している非血縁者となります。造血幹細胞移植の適応は、病型や染色体異常、全身状態、ドナーの有無などを考慮して決定されます。

急性骨髄性白血病の病後の経過

急性骨髄性白血病は、抗がん剤による治療効果が高く、治癒も期待できます。全体での寛解率は約80%程度となっています。寛解導入療法、地固め療法を終えた人の5年無病生存率(5年間病気が確認されない状態で生存している確率)は約20~40%です。また、再発しても、その後の抗がん剤治療や造血幹細胞移植によって治癒が得られる患者さんも少なくありません。

2018年末には、再発や難治性の急性骨髄性白血病を対象にしたFLT3阻害薬(FLT3という遺伝子に変異を持つ人に有効な分子標的薬)が登場。現在もいくつかの分子標的薬の開発が進んでおり、化学療法の選択肢が広がりつつあります。

ただ、遺伝子の異常のタイプ、年齢が60歳以上、寛解までの治療回数が2回以上といった予後不良因子によっては、化学療法の治療効果が期待できない場合もあり、寛解率や5年無病生存率も低くなります。

(ライター 田村知子)

森慎一郎さん
聖路加国際病院血液内科部長。1964年生まれ。1989年自治医科大学卒業後、都立墨東病院レジデント、小笠原村母島・三宅島・青ヶ島診療所、都立駒込病院血液内科、都立衛生研究所ウイルス研究科などを経て、2003年国立がん研究センター幹細胞移植科医長に。2011年聖路加国際病院血液腫瘍科部長、2016年から現職。日本内科学会認定医、インフェクションコントロールドクター、認定産業医、厚生労働省健康局長 医師緩和ケア研修会修了。

[日経Gooday2019年2月20日付記事を再構成]

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