2019/2/25

改正のポイントを知っておこう

今回の法改正によって、臨時的な特別の事情があって労使が合意(特別条項付きの労使協定を締結)する場合であっても、次のルールが課されます。

■19年4月1日から始まる時間外労働の上限規制

・「時間外労働」が年720時間以内
・「時間外労働」と「休日労働」の合計が月100時間未満
・「時間外労働」と「休日労働」の合計について、「2カ月平均」「3カ月平均」「4カ月平均」「5カ月平均」「6カ月平均」のすべてが1月当たり80時間以内
・「時間外労働」が月45時間を超えることができるのは、年6回が限度

これらに違反した場合、罰則(6カ月以下の懲役または30万円以下の罰金)が科される場合があります。

(注)上限規制の適用が猶予・除外となる事業・業務があります

これまでと大きく違う点は、時間外労働の上限だけでなく、休日労働も含めた1カ月当たりおよび複数月の平均時間数にも上限が設けられたことです。こうした労働時間を管理していくのは実はとても大変です。

たとえば時間外労働が45時間以内に収まっていても、休日労働と合わせて1カ月100時間以上となれば法律違反となります。突発的なトラブル対応のために、普段は残業がほとんどない場合でも、ある月だけ突出して時間外労働だけで100時間を超えてしまうケースなどは実際にあり得る話です。また、45時間を超えて働くことができるのは年間6カ月までであるにもかかわらず、毎月のように超えてしまっているケースや、時間外労働の増減が激しい場合は複数月でみると80時間を超えてしまっているケースなども考えられます。

残業がなければそれに越したことはありませんが、近年は人手不足で悩まされている職場は多く、残業でカバーせざるを得ないというところも少なくありません。しかし、女性が仕事と家庭生活との調和を図りながら働き続けるには恒常的な長時間労働は大きなネックとなります。女性が活躍の場を広げるためにも長労働時間の削減は今後の大きな課題といえるでしょう。

本文参考資料の出所:厚生労働省「時間外労働の上限規制 わかりやすい解説」2018年12月

佐佐木由美子
人事労務コンサルタント・社会保険労務士。中央大学大学院戦略経営研究科修了(MBA)。米国企業日本法人を退職後、社会保険労務士事務所などに勤務。2005年3月、グレース・パートナーズ社労士事務所を開設し、現在に至る。女性の雇用問題に力を注ぎ、働く女性のための情報共有サロン「サロン・ド・グレース」を主宰。著書に「採用と雇用するときの労務管理と社会保険の手続きがまるごとわかる本」をはじめ、新聞・雑誌などで活躍。