「生徒にとっては自分を見てくれていることが大きな励みになる。特に、担任以外の先生から親身なアドバイスが返ってくると効果は大きいようだ」(名倉氏)。一方、先生にとっては一人ひとりの学力に合わせて添削することで、指導力が高まる効果がある。「二高は先生が育つ学校だ」。同校に赴任して1年目の久保氏はそう実感するという。

あえて三兎を追ってほしい

左から佐藤教頭、久保校長、名倉主幹教諭

英語に慣れ親しめるよう、図書館には英文の小冊子を9百冊以上置いている。これは東北大学の図書館と協力して始めた。同校のすぐそばには東北大の川内キャンパスがあり、宮城県美術館や仙台市博物館も近い。恵まれた環境も、生徒たちの好奇心を刺激することに役立っているようだ。

もう一つ、久保氏が恵まれた環境として挙げるのが、同窓会の結束の強さだ。東京訪問時だけでなく、米国研修でも最終日には現地のOBやOGとの懇親会を開く。同窓会のニューヨーク支部があり、米国事情などを話してもらう。久保氏は「母校愛の強さには驚かされる。生徒や先生が動きやすい環境を整えるのが校長の役割だと思っているが、その際に同窓会の支援は非常に心強い」と語る。

同校の卒業生には、「ミスター半導体」と呼ばれた科学者で東北大総長などを歴任した西沢潤一氏、住友不動産社長などを務めた安藤太郎氏、元Jリーガーでサッカー協会強化委員長も務めた加藤久氏らがいる。すでに社会人となった卒業生のほか、東北大や京大に在学中のOBやOGらを招いての講演会も生徒たちの志を高めることにつながっている。

久保氏は「生徒たちには、あえて三兎(と)を追ってほしい」と語る。難関大学への合格、自分の中に潜む可能性を見いだす、そして運動に打ち込むことだ。実際、ほぼすべての生徒が部活動に所属し、そのうち運動部は7割を占めるという。校訓である「文武一道」は、学問と武芸は突き詰めれば同じであるという意味が込められている。その精神は脈々と受け継がれているようだ。

(村上憲一)

マネジメント層に必要な4つのスキルを鍛える講座/日経ビジネススクール

会社役員・経営幹部の方を対象とした、企業価値を高める経営の実務に役立つビジネス講座を厳選

>> 講座一覧はこちら

ブックコーナー ビジネス書などの書評はこちら