毎年だいたい70~80人が参加し、18年は国公立と私立合わせて56人が医学部医学科に合格した。ただし、医進会の活動は進学指導だけが目的ではない。現役医師の話を聞いたり、現場を見たりすることで、「自分が本当に医師になりたいのか。みんなが目指すから、成績が良いから、という理由だけで選んでいないか見直してもらう意味が大きい」と久保氏は指摘する。

「生徒に時間を返す」のが先生の役目

「文武一道」の校訓は受け継がれている=仙台二高提供

2年生の8月には10日間の米国研修がある。ボストンやニューヨークに滞在し、ハーバード大やマサチューセッツ工科大などを訪問。午前中は語学学校で英語研修を受け、午後は各大学で活躍する日本人研究者らの講演を聞く。18年は希望者の中から37人が参加。19年は50人まで増える予定だ。

以前はホームステイの年もあったが、最近、大学の寄宿舎に泊まるように変えた。アジアや中南米から来た同年代の学生たちと交流し、「ハングリー精神を体感してほしいという狙いから」と佐藤弘人教頭。実際、下手な英語でもどんどん話しかけてくる外国人と接する中で、生徒たちも何とか自分の考えを伝えようと工夫するようになったという。「出発式と帰国してからの解団式では顔つきがまるで違う」。佐藤氏は効果を強調する。

生徒の能力を引き出すのは、外部の刺激ばかりではない。通常の授業でも自主性を持たせることに力点を置く。その姿勢を、名倉氏は「生徒に時間を返す」という言葉で表す。学年の最初は教師が寄り添い、手取り足取りで指導していくが、それだけでは生徒の伸びは止まってしまう。「いつ手を離して、自分で勉強する方向にもっていくか。先生同士で話しながら教科ごとにタイミングを見計らっている」という。

かといって、生徒任せで放っておくのではない。生徒の自主性を尊重しつつ、能力を引き上げるための、同校独自の手法が添削学習だ。教科書の例題や大学入試の過去問など様々なレベルの問題を載せたプリントを廊下に置いておく。生徒は自分のやりたいプリントを持ち帰り、解いたら返却場所に戻す。

担当の教師はそれを添削し、一人ひとりにアドバイスを書き込んで生徒に返す。多くの高校では授業や補習で同じプリントを一斉にやらせ、進度に合わせた学習は生徒が自習するか、塾任せになりがちだ。同校では生徒が自分の進度に合わせてプリントを選ぶ。自分で選んだ問題だから、先生のアドバイスも熱心に読むようになる。

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