マーラー人気が止まらない しびれと辛さを楽しむ3店
昨夏以来、サンショウ(麻=マー)のしびれ感を楽しむ「マー活」がブームだ(「夏鍋、中華、担々麺にしびれる 『マー活』お薦め3店」参照)。この冬は、トウガラシ(辣=ラー)の刺激的な辛さを楽しむ「ラー活」を加えた「マー活&ラー活」がブームに拍車をかけている。今回は「マーラー」が楽しめる都内の飲食店を紹介する。
まずは東京・新宿の「アジアンビストロ パラパ」。フレンチのシェフが世界のスパイスやハーブを駆使した、独創的なエスニック料理を提供している。南国リゾートを思わせる開放的な空間で、デートや合コン、パーティー利用などで人気のレストランだ。
同店はアジアとヨーロッパの料理を融合させることに力を入れており、2019年1月から「シーフード麻辣パエリア」(レギュラーサイズ2980円、ハーフサイズ1580円、税別)を提供している。レギュラーサイズは4~6人前のビッグサイズで、パーティーシーンにお薦めのメニューだ。店の目玉商品として「直径40センチの特大パエリア」を提供しようと考え、パエリアにトレンドのマーラーを融合させてオリジナリティーを出した。
ベースはビタミンや鉄が豊富な五穀米を、海老やムール貝などの具材と一緒に炊き上げたシーフードパエリア。魚介のうまみが濃縮された風味豊かなパエリアに、インドネシアやマレーシアの料理に使われる酸味と辛みが特徴のサンバルソース、そしてしびれる辛さの花椒(ホアジャオ)をプラスし、独特の辛さを表現している。仕上げにパクチーとチリパウダー、レモンをトッピングし、爽やかな後味とエスニックのテイストをプラスした。
店長の安藤覚さんは「花椒の辛味、シビレ感だけが印象に残らないよう、おいしさも追求しました」と話す。このパエリアは3つの味の変化を楽しむこともできる。パエリアの中にはカマンベールチーズが丸ごと1つ入り、とろりと溶けたチーズが辛さをマイルドにしてくれる。また、花椒とトウガラシの辛味成分が溶けだした「しびれオイル」をかければ、後からくるしびれ感がさらにアップ。別添えのチリパウダーやサンバルソースをかけて、辛さだけをアップすることも可能だ。
調理に時間がかかるため、「シーフード麻辣パエリア」は要予約だ。提供し始めてから「病みつきになる」と好評で、今後ナシゴレンやパッタイなど、ほかのメニューにもマーラーを取り入れる可能性もあるという。
続いて紹介するのは、博多のもつ鍋や熊本の馬刺しなど、九州料理を提供する「九州居酒屋じげもん」。2018年11月に恵比寿店がオープン、看板メニューのもつ鍋をマーラーでアレンジした「激辛!しびれもつ鍋」(1人前1390円、注文は2人前から、税別)を提供している。
じげもんのベーシックなもつ鍋は特製の味噌ベースのスープに、ゴロっと大きめにカットしたホルモン、たっぷりのニンニクとニラを入れた、本場博多の味を忠実に再現したもの。うまみの効いたスープと食べごたえのある具材で好評だ。そこに花椒、トウバンジャン、辛味噌、韓国トウガラシを加えて仕上げたのが「しびれもつ鍋」。
味噌の風味を邪魔せずに、辛さとしびれを利かせた旨辛(うまから)を目指したという。店長の伊藤涼さんは「お客様に飽きられず、また店に足を運んでもらうために、看板メニューのもつ鍋でインパクトのあるアレンジをしようと思った」と、メニュー開発の理由を語る。
スープの表面にはたっぷりのトウガラシが浮いているが、「感じ方には個人差がありますが、見た目ほど辛すぎるということはありません」(伊藤さん)と話すように、真っ赤な見た目に反して味は思ったよりマイルド。辛さだけでなくほのかな甘みも感じられる韓国トウガラシを使用しており、さらに味噌のうまみ、豆板醤のコクが調和することで、辛さが前面に出るのを抑えているという。花椒のピリッとくる後味がアクセントになっており、味がぼやけることもない。飽きずに食べ進めていくうちに、じわじわと汗が噴き出してきた。
もっと辛さを楽しみたい、あるいは味に変化をつけたいなら、別添えの「オリジナル激辛スパイス」をトッピング。スパイスの正体は、粗削りにした韓国トウガラシだ。スパイスと味噌、ホルモンのうまみのある脂が溶けだしたスープは、ちゃんぽん麺(320円、税別)で締めるのがお薦め。太めの麺にスープがよく絡み、旨辛のスープを最後まで楽しめる。
じげもん恵比寿店は女性客が多く、しびれもつ鍋をオーダーするのも9割近くが女性だという。トレンドに敏感な女性客の心をつかみ、「辛さがくせになる」とリピーターの獲得にもつながっているようだ。
最後は銀座や渋谷など都内にも店舗を展開する居酒屋チェーン「赤から」のマーラーメニュー。もともと名古屋の赤味噌と赤トウガラシを合わせた「赤から鍋」を中心に、激辛好きにはたまらないメニューを幅広く提供している。最近はマー活・ラー活ブームでさらにメニュー開発に力を入れている。
昨年、夏季限定メニューだった「ビリビリ山椒(サンショウ)赤から鍋」が好評だったので、「麻辣(マーラー)赤から鍋」(1人前1290円、注文は2人前から、税別)としてリニューアルして通年で提供するようにした。赤からのほかの鍋はスープの辛さが1~10番まで選べるが、リニューアル後の麻辣赤から鍋は真ん中の5番の辛さがベースになっている。そこにブレンドトウガラシ、ホアジャオをたっぷりとかけ、トレンド感のあるマーラー鍋に仕上げた。
トウガラシの辛さをダイレクトに感じたいなら、「セセリの地獄焼き」(690円、同)を。赤から特製タレをもみこんでジューシーに焼き上げ、セセリの表面が見えなくなるほど粗びきのトウガラシをたっぷりかけた一品料理だ。見た目のインパクト通り、ひと口食べた瞬間に刺激的な辛さが舌の上に広がり、食べ終わってからもしばらく口の中に辛さの余韻が残る。
トウガラシの辛さと相性のいい唐揚げメニューもそろう。「爆弾鶏からレッド(2個)」(330円、同)は、ニンニクとしょうゆで味付けした鶏肉に衣をつけてじっくりと揚げ、赤からオリジナルパウダーと唐辛子をかけた。一般的な唐揚げに比べ2倍近い大きさで、豪快にかぶりついてザクっとした衣や、やわらかい鶏の肉質、ピリッとした辛さを堪能したい。「手羽先唐揚げ」(4本490円、同)は、特製赤からパウダーと粗唐辛子をかけた「レッド」、粗びきのブラックペッパーをかけた「ブラック」がある。辛さと香ばしさ、異なるスパイシー感が楽しめ、いずれも人気メニューという。
しびれという新鮮な味覚で注目を浴び始めたマー活と、根強い人気でさらに激辛ファンを増やしているラー活。冷たいドリンクを片手に、汗を流しながら刺激的な料理の数々を楽しんでみては。
(GreenCreate)
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