週末レシピ レンジで30分のオニオングラタンスープ
暦の上では立春も過ぎたとはいえ、まだまだ寒い日が続いている。春の訪れが待ち遠しい今日この頃。そこで今回は、熱々の「オニオングラタンスープ」を作ろう。パリ生まれのフランス料理だが、日本のファミリーレストランやカフェでも人気のメニューだ。
材料もシンプルで作り方も簡単。しかし、まず初めにタマネギをあめ色になるまで根気強く時間をかけていためなくてはならい。家庭では、2時間も3時間も鍋につきっきりで相手をするのは難しい。この時点で作る気がうせ、オニオングラタンスープは外食に限ると決めている方も多いようだ。
とはいえ、通常は数時間かかるその厄介なあめ色タマネギを、電子レンジを活用して簡単に仕上げる調理法がある。今回はこれを伝授しよう。
タマネギ 3個 / バター 大さじ2 / サラダ油 大さじ2 / 砂糖 小さじ1 / 赤ワイン 大さじ4 / ウスターソース 小さじ1 / スープストック(今回は固形ブイヨンを溶いて使用)2カップ / フランスパン 4~5枚 / 溶けるチーズ 適量 / 塩・コショウ 適量 / ガーリックバター 適量
(1)タマネギを薄切りにする
(2)耐熱容器に(1)、バターと少量の塩を入れ、電子レンジに10分かける
(3)鍋にサラダ油と(2)を移し、強火で10分、砂糖を加え、さらに5分いためる
(4)赤ワインとウスターソースを加え、水分を飛ばすように5分いためる
ここまで仕上がれば、全工程の8割は済んだと思ってもらってよい。ポイントとして、タマネギの繊維を断ち切るように薄切りにすること。
(1)ガーリックバターを塗ったフランスパンをトーストする
(2)<あめ色タマネギ>(4)の鍋に、スープストックを加え沸騰させる
(3)容器に(2)を注ぎ、(1)をのせる。表面をたっぷりのチーズで覆う
(4)トースターなどで、チーズに焼き色が付くまで熱してできあがり
そもそも、なぜあめ色になるまでタマネギをいためなくてはならないのか。それは、うま味と甘みを最大限に引き出すためだ。ただし、あめ色に色づけることと、焦げて色づくのはまったくの別モノ。
そこで、砂糖、ウスターソース、赤ワインにも助けを借りる。キャラメル状になった砂糖、うま味が凝縮しているウスターソース、煮詰めた赤ワインによりコクがプラスされる。これで、焦がさずに、あめ色タマネギを素早く仕上げられるのだ。
あめ色タマネギは、冷凍保存が可能。カレーやシチュー、ハンバーグやチャーハン、はたまた卵料理などにも活用でき、料理の深みをアップさせる優れものだ。
せっかくあめ色タマネギを作ったのだから、スープだけではもったいない。オニオングラタンスープとの相性もよく、おかずにもつまみにもなる、「ジャーマンポテト」を作ろう。
あめ色タマネギ1個分 / ジャガイモ3個 / ベーコン 1カップ / ソーセージ 適宜 / ニンニク 適量 / サラダ油 適量 / 塩・コショウ 適量 / キャラウェイシード 適宜
(1)フライパンにサラダ油と潰したニンニクを入れ、一口大に切ったジャガイモをいためる
(2)残りの材料を加え、さらにいためてできあがり
冷めてもおいしいので、夕飯の残りをそのまま弁当のおかずにしてもよい。
冒頭にも記したが、オニオングラタンスープは、パリ生まれのフランス料理。もともと、フランス第2の都市リヨンの名物料理「オニオンスープ」が、パリで「グラタン」に発展したと言われている。
小学校の頃、友人らと喫茶店に行き、みんなはパフェやジュースを注文する中、私は一人オニオングラタンスープを食べていた。それほど私は、オニオングラタンスープが大好きだ。
「食べていた」と言うのは、「飲む」という表現が適さない料理だからだ。パリでは食堂やカフェなどでも定番のメニューだが、スプーンを入れても、なかなかスープにはたどり着かない。表面は厚みのあるチーズに覆われ、そこを超えると汁気をたっぷり吸ったバゲット、さらにその下には、トロトロのタマネギがぎっしり埋まっている。スープはどこ?これは、本当に「スープ」という名でよいのか?と、勘ぐりたくなるような食べ物なのだ。
最後にもう一品、「オニオングラタントースト」を紹介する。オニオングラタンスープの汁なしバージョンのようなもの。リヨンの「スープ」が、パリで「グラタン」になり、我が家では「トースト」に変化をとげた。
あめ色タマネギ 1個分 / 食パン 2枚 / ベーコン 適量 / チーズ 適量
(1)食パンにベーコン、あめ色タマネギ、チーズをのせて焼くだけ
味付けは一切不要。あめ色タマネギさえ用意しておけば、ササッと作れる、簡単お手軽メニュー。朝食にも夜食にもピッタリで、満足感は抜群だ。
コク深く熱々トロトロの、本格的なパリ風オニオングラタンスープ。食事としても、ワインやビールのお供としても合う。春の訪れを待ちわびながら、自宅でトライしよう。
(世界料理探究家 T.O.ジャスミン)
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