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『現代語訳 論語と算盤』渋沢栄一著 守屋淳訳 ちくま新書

『現代語訳 論語と算盤』渋沢栄一著 守屋淳訳 ちくま新書

企業による不祥事が、毎日のようにニュースになる昨今。従業員を不当に扱う"ブラック企業"という言葉も、もはやすっかり定着した感がある。利益至上主義ともいえる風潮がはびこる現代において、本書は働き方や企業のあり方を改めて考えさせてくれる。

"近代日本資本主義の父"といわれる実業家、渋沢栄一による名著を分かりやすく現代語訳。明治期から活躍し、みずほ銀行やJRなど、約470の企業の設立に関わった渋沢。彼が生涯、自身の経営哲学の土台としたのが孔子の『論語』だった。利潤を追求しつつ、その実践には道徳心を伴わなければならない。核となるこの考えをはじめ、その言葉の数々は、1世紀ほど前に著された内容にもかかわらず、現代社会で働く人々の悩みや葛藤にぴたりと寄り添い、答えを示唆している。今、自分が働く意味を見いだしにくいと感じているなら、"ビジネスマンの大先輩"の言葉に耳を傾けてみては。

要点1 道理にかなった富なら進んで追求すべき

高い道徳を持つことと利潤追求とは一見、相反するように思える。だが、富や地位を求めることは、人間の自然な欲求であり、決して悪ではない。それがまっとうな生き方にかなうものであれば、進んで求めるべき。一方、「自分さえよければいい」という考えで道理に背いていると、豊かさは社会全体に広がらず、結果的に自分も不利益を被ることに。富を得たい欲望と、その暴走を止めるための道徳心。この2つを常に持ち併せてビジネスを行うことが、結果的に経済や社会を元気にする。

要点2 逆境も天命と思えば心の平静を保てる

仕事でも人生においても、逆境に見舞われることはあるだろう。その際はまず、それが「人がつくった逆境」なのか、あるいは「人にはどうしようもない逆境」なのかを区別すべき。前者は自分を顧みて、悪い点を改めることが必要。後者の場合は、それが社会のなかで自分に与えられた役割だと覚悟を決めれば、大変な状況でも平静さを保てるだろう。天命に身を委ね、チャンスが来るのを気長に待ちながら努力を続けるしかない。

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