自分の未来、まず絵に描こう ラクガキコーチのお仕事タムラカイさん

説明が難しいのですが、絵が必要なければ使いませんし、デザイナーとしての知見を皆さんの課題の解決に活用しているという感覚ですね。

なぜラクガキコーチになったのですか?

ワークショップの風景=タムラカイさん提供

きっかけは2つあって、まずは富士通デザインの入社5年目に突然、別の部署への異動辞令が出たこと。一度抗議をしてみたのですが、そこで自分は会社の名前でしか仕事をしてこなかったことに気付きました。

異動先の部署でブロガーの方と仕事をすることがあって、自分の名前で会社と対等に仕事をしていることに感銘を受け、自分でもブログを始めてみました。これが09年のことで、今でこそブログはたくさんありますが、日本ではまだ珍しかった。新しいiPhoneを使った感想を書いてみたり、いわゆるガジェット系ブロガーですね。数年して「ブロガーのタムラさん」として社外で認知されていくようになって途中までは楽しかったのですが、「そもそもブロガーになりたかったんだっけ?」とも思うように……。

ちょうどその頃、ブログのコミュニティーで出会った友人から「絵を教えてほしい」と言われてラクガキ講座をやってみて、これが転機になりました。2014年2月に「ハッピーラクガキライフ」と銘打って開催し、10人ぐらいの参加者から「絵を描くことが楽しくなった」と言ってもらえて、何より僕がすごく楽しかったのです。

そこですぐさまラクガキ講座のサイトを作ってみたのですが、これまでのウェブデザインの経験や、ブロガーとして文章を書いてきた経験も生きて、サイトが検索されるようになり、「ラクガキで町おこしがしたい」と突然、地方の青年会議所の方から連絡を頂いたり、書籍化のオファーを頂いたりして、徐々に認知が広がっていきました。

肩書をどうしようかと考えたときに、人の話を聞いて描いて俯瞰して、これからどんな目標を設定しますかみたいなコーチングもしていたので、落書きとコーチングをかけて「ラクガキコーチ」と名乗ることにしました。

■タムラカイさんのオシゴト年表
2003年 富士通デザイン入社
2008年 望まぬ異動でモチベーション下がる
2009年 個人ブログを開始
2014年 友人の提案でラクガキ講座を開始
2015年 「ラクガキノート術」出版
2016年 GCBを結成

独立しようと思わなかったのですか?

転職を考えた時期は正直ありましたね。ちょうど「ラクガキノート術」という本を出版する直前の14年末あたりでしょうか。プライベートは充実していくのに、当時の会社の仕事は楽しくなくて。会社が悪いと思っていた時期もありました。

さらに個人としての活動がうまくいってくると周囲の人から「独立してもやっていける」と言われるんですよね。でも僕は天邪鬼なところがあるというか、逆に「だったら会社にいるまま活動を続けて、さらに自分のスキルを会社に持ち込んでやろう」と考えたのです。

折しも富士通も変革しようと、共創という言葉を使い始め、デザイン思考教育を外部に提供し始めていました。これは僕の活動を会社に戻せるのではないかと思い、ある連続講座の一部で「僕のメソッドを使ってみませんか?」と社内で提案しました。

その後は社内のイベントや発表会などでグラレコの仕事を頼まれるようになり、それを見た社外の方から「うちのイベントでもやってほしい」と言われたりして、会社の仕事と社外の仕事がリンクしてくるようになりました。

実は同じようなことをやっていたという仲間も見つかって、社内で「グラフィック・カタリスト・ビオトープ(GCB)」というチームも結成することになりました。今では社外も含めて20人ぐらいいますね。

副業として会社に認めてもらっていたんですか?

現在は正式に副業のガイドラインができたのですが、僕が活動を始めた頃は明確に禁止はされていないという状況で、とりあえず始めてみたというところがありました。以前の上司に「外で作ったものを社内に還元して仕事をしていますが、万が一、逆の場合はどうなりますか?」と聞くと、「会社で作ったものなら、それは会社のものかな……」という、当たり前なのですがはっきりしない反応だったので、ややセーブして活動していました。

しかし今の上司に同じ質問をしたら「もうそれ(個人活動と会社の仕事)は分けられないから、気にしなくていい」と言われました。活動当初からブログやSNSも炎上しないように相当気を付けていましたし、デザインや新しいテクノロジーの知見を社内で共有し、事業にも貢献していて、信頼を頂いていたのだと思います。もし新入社員でいきなり同じことをやろうとしたらできなかったでしょうね。

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