仕事に欠かせぬ「想像力」 相手の気持ちも先回り
ECC取締役 塚田訓子氏
塚田訓子ECC取締役
管理職として活躍する女性が仕事やプライベート、働き方への思いを自らつづるコラム「女性管理職が語る」。女性管理職が交代で執筆します。今回は、ECC取締役の塚田訓子氏です。
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まだ私が課長職だった頃に、当時の役員から「あなたが仕事で重要だと思うスキルは何ですか」と聞かれたことがあります。その時、私は「想像力です」と答えました。
「想像力」というのは、例えば私がこう言ったら相手はどう思うかなとか、この仕事を頼んだら大変かなというように、他者の気持ちや考え、反応を想像することです。こう言うと気分を害するかもしれないから言い方をよく考えようとしたり、この仕事を今頼むと大変だろうから締め切りを少し長めに設定しようとしたりします。時にはAさんとBさんの組み合わせだとすごくいいチームになるのではないか、と妄想したりもします。
当然、想像通りになる場合とそうでない場合がありますが、相手の日ごろの言動からその人となりを知り、いろいろと想定できます。何か資料を用意したり、面談の時に誰かを同席させたりして、できるだけ正確に私自身の考えや思いを伝えることで、相手の理解や同意を得る可能性が高くなると思います。
また、仕事内容そのものについても、例えばこの仕事のやり方を変えたらどういう問題が起きるだろうかとか、この手順を省略したらもっとスムーズに進められるのかといったことを想像します。その仕事に関わる人たちにも意見を求めて、無駄なことを省いたり、逆にもっとこまかく確認した方がよい場合は、そのように変更したりすることもあります。
時には「○○の書類っていらなくない?」などと相手に問いかけ「えっ!?」と驚かれることもありますが、以前からの慣習で、負担が大きいわりにあまり意味のない仕事があるのも事実です。一方で、私自身が気づいていない意味や目的がある場合もあり、「あー、じゃあ、やっぱりこの手順は必要なんだね」となることもあります。