格闘こそ見もの 超過激なフィレンツェのフットボール

日経ナショナル ジオグラフィック社

ナショナルジオグラフィック日本版

ボールを手に走る選手。2017年決勝戦(PHOTOGRAPH BY CLARA VANNUCCI, INSTITUTE)

「カルチョ・ストーリコ」を知っているだろうか? ルネサンス時代にイタリアで生まれたこのスポーツは、サッカーやホッケー、ラクロス、ラグビーなど、2つのチームがフィールド上で対峙して敵のゴールを狙う「ゴールゲーム」全般の起源とも言われている。格闘技に近い過激な競技を写真で紹介しよう。

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カルチョ・ストーリコはスポーツであるが、そこにおける戦いとは、真の意味での格闘であり、しかもそれはホッケーやアメリカンフットボールの場合のように、試合中に生じる副産物ではない。

むしろ格闘こそ、このゲームの主役だ。「観客たちはそれを目当てに集まるのです」。幼い頃から毎年6月に行われるカルチョ・ストーリコを観戦し、3年ほど前からその写真を撮り始めたイタリア人の写真家、クラーラ・ヴァンヌッチ氏はそう語る。

2016年の決勝戦の開始を祝うアッズーリ(青チーム)のサポーター(PHOTOGRAPH BY CLARA VANNUCCI, INSTITUTE)

試合のルールは以下の通りだ。それぞれ27人からなる2つのチームが、長方形のフィールドの異なるサイドに分かれて試合は始まる。ボールが置かれるのは中央だ。50分間にわたり、筋骨隆々とした男たちがあらゆる手段を尽くして、相手チームのゴールネットにボールを放り込むために競い合う。優勝を目指して4チームが参加する。

2015年の決勝戦前に行われたコルテオ(行列)(PHOTOGRAPH BY CLARA VANNUCCI, INSTITUTE)

かつては試合の参加者はフィレンツェ生まれの市民に限られていたが、現在は各チーム2名ずつの外部選手の参加が認められている。得点は重要ではあるが、観衆が注目するのはやはり取っ組み合いの戦いだ。イギリスからプロの総合格闘技選手を引き抜いたチームもあった。その選手は血だらけになっても戦い続け、フィールドの上を今にも気絶しそうにふらふらと歩きながら、新たな敵を見つけては襲いかかっていった。