まるでキーケース 極小3つ折り財布はお札畳まず収納
特集 愛用者が急増 タイプ別ミニ財布
長財布に代わる勢いで急速に人気が高まっているミニ財布。これまで「極薄の2つ折り」「小型なのに大容量」というミニ財布を紹介してきたが、今回取り上げるのはキーケース並みのミニサイズなのに、紙幣を折り畳まなくても収納できる、使い勝手抜群の「極小3つ折り財布」。いずれも紙幣・コイン・カードが入るオールインワンで使いやすいモデルばかりだ。
カードと同等サイズに設計した3つ折り財布
ミニ財布の人気について「スマートフォン(スマホ)やカードの普及によりキャッシュレス化が加速したことが、財布のコンパクト化を進めたと考えています」と分析するのは、ミニ財布をはじめ、小さな革小物に特化したブランド「com-ono」企画部の川鍋基樹氏。最近はカバンも小さくなる傾向があるため、「ミニ財布は老若男女問わず幅広い世代の方に支持されている」。単に小さいだけでなく使いやすさも兼ね備えたものだという。
「TINY-002」は、まるでキーケースのような見た目とサイズの3つ折り財布。片手に収まるほど小さいが、紙幣・コイン・カードが入るオールインワン仕様になっている。
財布を全開にすると、背面側の札入れに紙幣を折り畳まずに入れることができる。「3つ折りにすることで財布自体のサイズを、カードとほぼ変わらない大きさに設計している」(川鍋氏)
財布のホックを外すと、内側にコインポケットが現れる。形状を横長にすることでコイン15枚程度を収納可能にした。このコインポケットの裏がゴムで挟み込むカード収納部になっており、カード5枚程度まで重ねて収納できる。ゴムにはスノーボードのゴーグルなどに使われる耐久性の優れたウーリーゴムを使用しており、カードが1枚でも落ちないようになっているという。
表革にはイタリアでフルタンニンなめしされたドラーロという革を、内装には同じくイタリア産のブッテーロレザーを使用。このほかシーズン限定カラーとして、イタリア産ブッテーロレザーにキルト柄と波形の型押しを施したバリエーションも展開されている。
「発売から1年も経たないうちに3000個ほどの売り上げがありました。今も変わらず売り上げは伸びています」(川鍋氏)。日常使いのほか、ポケットに収まるサイズなので、ランニングや山登りなどのアクティブシーンで使う人もいるという。
薄型&シンプルなデザインも好印象
革財布の「millefoglie(ミッレフォッリエ)」や名刺入れ「cento(チェント)II」など、ユニークな革製品を展開するm+(エムピウ)。代表取締役の村上雄一郎氏によると、ミニ財布に関しては「紙幣を折り畳まず、そのまま入れられるタイプが人気」だという。同社の3つ折り財布「straccio superiore(ストラッチョ スペリオーレ)」も紙幣を折り畳まずに入れることができる。さらにサイズがコンパクトなだけでなく、薄型という点も特徴だ。
村上氏が「極力シンプルなミニ財布を考えた」というだけあって、外装にポケットなどはなく、名刺入れのようなデザイン。上質感もあるので、普段使いだけでなく、フォーマルな場面でも違和感がない。
構造としては、一般的な2つ折り財布のように、財布を開いた内側に札入れ・小銭入れ・カード収納を搭載。コイン入れはファスナーやスナップボタンなどが付いていないオープンポケットなので、小銭の出し入れもしやすい。3つ折り構造のため財布を畳むと開口部がしっかり閉じる設計になっているので、コインが落ちる心配もない。紙幣は10枚、コインは100円玉を15枚、そして厚めのカード5枚程度を収納可能だ。
表革にはイタリア製タンニンレザーのミネルバリスシオを使用。使うほどにツヤが出て、色に深みが出てくるという。また内装には国産牛のヌメ革を使用している。
購入者層は30~40代の男性が中心。オンラインストアでの再入荷時リクエスト登録者数が非常に多く、「入荷後すぐに売り切れとなっている状態」(村上氏)だという。
パーツの配置や構造を工夫して小型化
その名もずばり「薄い財布」が人気のアブラサスだが、今回紹介する「小さい財布」も見逃せない。紙幣・コイン・カードを収納でき、紙幣も折らずに入れられるにもかかわらず、ほぼカードと同等サイズに設計されているのだ。財布の中でも小さいのはもちろんのこと、一般的なカードケースやキーケースと比べても小さい。
「手のひらやポケットに収まるミニサイズでありながら、お札もコインやカードも見やすく取り出しやすいように、それぞれのスペースの配置や構造に工夫を重ねた」と話すのは、アブラサスを展開するバリューイノベーションのデザイナー、南和繁氏。財布自体の構造やパーツの数、収納部の位置などを見直すことで、使いやすい極小3つ折り財布に仕上げている。
財布のホックを外すとカード収納部が現れる。カードスペースは前面の左右に切れ込みがあり、重ねて入れたカードも取り出しやすいのが特徴。さらに開くとコインポケットが現れる。上蓋のないオープン構造のため、ワンアクションで小銭を出し入れ可能。そして全開すると、紙幣を折り畳まず入れられる札入れが現れる。
ベーシックな天然の国産牛革にエンボス加工を施したタイプのほか、イタリア産ブッテーロレザーを使用したタイプなど、バリエーションが豊富なのもうれしい。
ミニ財布の注目度上昇にあわせて、「売り上げは年々伸びている」(南氏)。主な購買層は30~50代の男性だが、クラッチバッグなどの小さいバッグにも入れやすいため、最近は10~20代の男女の購入も多いという。
(ライター 津田昌宏、写真 野町修平=APT、スタイリング 宇田川雄一)
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