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熟成ずし、ねっとりとした深い甘み味わう 東京・広尾

2019/2/25
「熟成鮨 万」の「北海道羅臼産ブリ」
「熟成鮨 万」の「北海道羅臼産ブリ」

「今夜はすしにしよう」となったとき、何を基準に店を選ぶだろうか。少々値が張っても安心の老舗、家近くのなじみ店などさまざまだろうが、トレンドですし店を選ぶなら、今はここしかない。東京・広尾エリアに誕生した、まだ手がける人が少ない「熟成ずし」の専門店だ。

Summary
1.ネタは熟成した魚介のみ。まったく新しいすしをおまかせで
2.うまみと香りを最大限に引き出す独自の技術を体験
3.看板のないプレミアムな空間だが、気取らない雰囲気

総檜(ひのき)のカウンター内で、たくましい腕を振るいつつ迎えてくれるのは、大将の白山洸さん。「大阪ずし」を皮切りに江戸前ずし、そして熟成ずしを追求してきた、29歳の新鋭すし職人だ。漁師の家系に育ち、子どものころの食卓は魚が中心で、「鶏肉の唐揚げが食べたい」と思い育ったという生い立ちがユニーク。

すしが好きで、「すし職人になれば毎日食べられる」と思い、すし店に就職。しかし、修業中の身ですしをたらふく食べられるはずがない。

「給料が出たら、休日はすしの食べ歩きをしていました。ある日訪ねた店で、鯛(タイ)の食べ比べをさせてもらったんです。仕入れた直後の鯛と、3日目の鯛。当然仕入れたばかりのほうがおいしいと思ったら、3日目のほうが断然おいしくて、びっくり。ということは1週間たてばもっとおいしくなるのでは? と味の変化に興味がわいたんです」

ブリをさばく大将の白山洸さん

当時18歳だった白山さん。寮の部屋で鮮魚を並べ、30分おきに試食を繰り返し、味の変化を研究し始めた。「まだ熟成という言葉すら知らず、何が原因でどんな風に劣化するのか知りたかったんです」

以降、劣化と熟成のはざまで、最高においしい瞬間を求め続けた。

熟成を指導してくれる師匠はいない。理論と経験に基づき、ただひたすら独学を続けてきたという。

仕込み中をのぞいたら、ちょうど立派なブリをさばいている最中。

ブリは白山さんが好きなネタの一つだ。産地は北海道から始まり富山県の氷見へと続くが、こちらは北海道羅臼産。

「熟成をはじめて28日目です。これから塩漬けにしてあげるんです」と、大きくやさしい手で魚に触れる。

丁寧に包丁を入れながら、白山さんはゆっくり熟成についての説明をする。「熟成を続けると全体の3~4割は雑味になります。もったいないと思われるかもしれませんが、捨ててしまいます」

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