2019/3/17

「大学卒業後は東京の機械商社に入社しました。やはり東京に憧れがありました。4年間、空調や水道関係のポンプの営業を経験しました。妻で専務の都美江とは学生時代知り合い、26歳で梶原の婿養子となりました。実家は4人兄弟の3番目なので両親も反対しませんでしたが、『銀座で大丈夫なのか』とは心配はされましたね」

梶原伸悟 田屋社長

――機械商社とアパレルとでは色合いがずいぶん異なりますね。

「品質と価格帯に対する考え方は全く違いますね。機械商社のビジネスはライバル社との価格競争が基本です。より安く、より高機能に製品をレベルアップさせていくことが必要です。これに対して、田屋はアパレル他社との競争よりも、とにかくクオリティーの高いものを扱っていることが、店が代々続くことにつながるという考え方です」

「田屋には親子代々、あるいは3代続く顧客も少なくありません。その期待を裏切らないように高い品質を保つことが基本になります。流行は追いません。他社がこぞって商品価格を下げた2008年のリーマン・ショックのときも、違うものを扱っていたので影響をほとんど受けませんでした」

――しかし、クールビズの影響もあって、ネクタイ離れが加速しているようにみえます。

「クールビズは小泉純一郎内閣の小池百合子環境相のもと05年に始まりました。当初はネクタイの販売本数が落ちることはなかったのですが、11年の東日本大震災での節電要請をきっかけにガタンと落ち込みました。クールビズに震災の節電モードが重なって、ネクタイをしない人が急に増えたのです」

「銀座という街自体の需要は拡大していますが、地方の百貨店などでは売り場面積が縮小するようなケースも目立ってきています」

「現在では販売構成も変わり、ネクタイ4割、オリジナルシャツが3割。イタリアから輸入した小物が1割、ジャケット2割です」

「しかしネクタイ自体がなくなることはないでしょう。最近は企業やクラブなどからオリジナルタイの受注が多くなっています」

「8本から4本単位でのオーダーメードを受注しています。デザインによって価格は異なりますが価格は1本1万円から。デザイン料は初回3万円からです。近い将来は世界に1本しかない『あなただけのネクタイ』も受注できるシステムを構築しなければならないと考えています」

(聞き手は松本治人)

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