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流行を追わない銀座のネクタイ 3代続く顧客に磨かれ 田屋社長 梶原伸悟氏(下)

2019/3/17

田屋社長 梶原伸悟氏

現在の銀座4丁目に拠点を設けてから114年を経た「田屋」は首都・東京を代表する老舗のひとつ。しかし、夏の軽装を奨励する「クールビズ」の影響などもあり、主力のネクタイを取り巻く環境は厳しさを増す。生き残りをはかる老舗の企業戦略を5代目、梶原伸悟社長に聞いた。

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――ビジネス社会の変遷とともに、ネクタイにも変化がありますか。

「当社のネクタイの長さはここ30年間、ずっと148センチメートルです。半面、スーツではパンツの股上部分が短くなってきている印象を受けます。30年前はへその位置ほどだったのが、現在は腰ではくようになってきています」

――ネクタイを身につける際、何に気をつければいいでしょうか。

「ネクタイは重要なビジネスツールだと考えています。入社して3年は無難な柄や色がベストでしょう。定番の小紋、無地、ストライプ。色は紺系ですね。30歳代ともなれば、自分の趣味をネクタイに盛り込むのもひとつの方法でしょう。音符や自動車などの絵柄で、取引先との会話が弾むこともあります」

「執行役員や取締役ともなれば、見た目の大きな柄をお薦めします。意外に聞こえるかもしれませんが、60歳を過ぎると、赤や紫など、派手な色彩を使ったものが映えます」

――ネクタイはどのように保管すればいいのでしょう。

「つるしておけば問題ありません。 私自身、つるしていますし、顧客にもそう勧めています。『丸めて保管するのがいい』という意見もありますが、これは恐らくプリント柄のネクタイですと、つるしておくと生地が伸びてしまうからでしょう。当社では織物の生地なので、つっておいた方が、締めていた時にできた余計なシワがきれいに取れます」

――ネクタイは「クリーニングに出してはいけない」ともいわれます。

「これは正しいですね。ネクタイで最も大切なことは風合いの良さです。クリーニングに出すとどうしても変わってきます。お気に入りの柄であれば、少々の汚れには目をつむって使う方がいいですね。汚れが目立ってきたら残念ながら取り換えるべきです。ネクタイは基本的には消耗品ですから」

店内に並ぶ田屋のネクタイ(東京都中央区の銀座本店)

――なぜ田屋に携わるようになったのですか。

「実は私は沖縄県浦添市の出身です。高校時代は水球の選手で、推薦で日本体育大学に進学しました。大学の水球部でレギュラーを務めていた4年間は、毎日が合宿所と大学の往復という典型的な体育会系学生でした。服装も基本的にはスエットで、月に1回あるかないかの練習休みの日にジーンズをはくくらいでした」

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