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北磁極の位置が急激に移動 原因不明、ナビにも影響

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ナショナルジオグラフィック日本版

地球上で磁力線が鉛直になる場所を磁極といい、北側にあるものを「北の磁極」という。北の磁極はじっとしていたためしがない。地球内部の「外核」を流れる液体の鉄に影響されて、過去100年ほど、北磁極は真北に向けてじりじりと移動してきた。ところが最近になって、専門家は異変が起こっていることに気が付いた。北磁極が急にスピードを上げて移動し始めたのだ。なぜなのかは誰にもわからない。

その動きがあまりに急激なので、慣例の5年ごとという予定を繰り上げて、米国は世界磁気モデル(WMM)を2019年初めに更新する予定にしていた。世界磁気モデルは、携帯電話をはじめ、船舶、航空機などのナビゲーションに利用されている。ところが、米連邦議会の予算案交渉が難航し、予算が切れた連邦政府が一部閉鎖されたため、更新が延期されていた。

政府が再開し、新しい北磁極を示した最新モデルが2月4日に発表されたが、疑問は残る。北磁極はなぜこれほど速く移動しているのか。更新が遅れたことによる影響はあるのか。グーグルマップのナビで変なところに連れて行かれることはないのか。

とても敏感な北磁極

地球上には、北の「極点」が3つ存在する。1つめは地球の自転軸の北端にあたる真北で、いわゆる北極点だ。

2つめは、地球を包み込む磁気圏から考えられる「地磁気北極」だ。地球の中に棒磁石が入っていると想定したときに、磁石の北端と地表が交わる点である。この棒磁石の角度は、地軸と少しだけずれている。そのため地磁気北極はグリーンランドの北西沖に位置し、過去100年間でわずかしか移動していない。

第3の極点が「北磁極」だ。これは、方位磁石の北をずっと追いかけていくとたどりつく場所である。地球を取り巻く磁力線が真下を向いている場所とも言える(北磁極で方位磁石は逆立ちする)。地磁気北極と違い、北磁極の位置は地下約3000キロより深い外核にある液体の鉄の影響を受けやすい。この流れが磁場を動かし、地上の北磁極が激しく移動する原因となっている。

「北磁極は、とても敏感な場所なんです」と、英リーズ大学の地球物理学者フィル・リバーモア氏は言う。

世界磁気モデルとは

北磁極は1831年、ジェームズ・クラーク・ロスによってカナダのヌナブト準州で初めて実際に確認された。以来、北磁極は主に北極点の方向に移動した。その距離は、過去数十年間は数百キロだった(奇妙なことに、同じ時期に南磁極はほとんど移動していない)。

こうした変化に対応するべく、米海洋大気局(NOAA)と英地質調査所(BGS)が作成したのが世界磁気モデルだ。BGSの地球物理学者キアラン・ベッガン氏は、「関係組織がすべて同じ地図で運営できるようにするため」と説明している。

モデルは5年ごとに更新されてきた。最後の定期更新は2015年だった。次の更新までの間、科学者たちは地上の磁気観測所と欧州宇宙機関によるSWARMミッション(地球を1日15~16周する3基の地磁気観測衛星)からのデータを基にモデルの正確さを確認する。今まではそれで十分だった。

20世紀半ば、北磁極の移動距離は1日30メートル以下だった。1年で11キロに満たない。ところが、1990年代半ばに変化が現れ始めた。2000年代初めには、北磁極は年に約55キロのペースで移動していた。

「高緯度で何かとても奇妙なことが起こっています」と、リバーモア氏。そしてこれが、地球内部の外核で、液体の鉄のジェット噴流が起きていた時期と重なるという。ただし、この2つの出来事の間に関連があるかどうかはわからない。

2018年初めには、北磁極の現在位置と世界磁気モデルのずれが大きくなりすぎて、磁気ベースのナビゲーションシステムに支障が出る恐れが出てきた。モデルの更新は2020年の予定だが、その前に何か手を打たなければならなかった。

更新が遅れた影響は?

そこでNOAAとBGSは、直近3年分のデータを使って、主に米国防総省、英国防省、北大西洋条約機構(NATO)などに向けて修正したバージョンを、2018年10月にオンラインで公開した。

だが、政府機関が閉鎖されたせいで、オンライン計算機やソフトウエア、技術注記の変更など、民間用の更新が遅れていた。米コロラド大学ボルダー校の地磁気学者アーナウド・チュリアット氏は、基本的に磁気ナビゲーションの利用者は、誰でも今回の更新の恩恵を受けることになるだろうと話す。NOAAの研究者でもあるチュリアット氏は、モデルの更新に携わっていた。

現在、世界磁気モデルはグーグルやアップルをはじめ、多くの地図システムが採用している。例えば、地図サービスをスマートフォンで使うときの方角だ。地理的な東西南北が正しくなるように、磁気モデルで調整しているのだ。とはいえ、今回、磁気モデル更新の影響があるのは、緯度が55度以上の地域に限られるという(日本最北端の宗谷岬で北緯45度)。つまり、通常の用途では、大きな影響はない。

「北極圏でトレッキングでもしていない限り、大した影響を受けないでしょう」と、ベッガン氏。

なぜこんなことが起こっているのか

尋常ではない北磁極の変化を見守る理由は、地図のためだけではない。地球の磁力線が変化していることは、地下数千キロメートルで起こっている事態を理解するための、数少ない手掛かりになる。

2018年、米地球物理学連合の秋期会合で、リバーモア氏は最近の奇妙な動きについて、「磁場の綱引き」が起こっていると報告した。北磁極は、カナダ北部とシベリアにある2つの強力な磁場領域によってコントロールされているらしいというのだ。これまではカナダの方が強力で、北磁極をしっかりと捉えていたが、それが最近変わり始めているようだという。

「シベリアの方が戦いに勝利しそうな気配です。地理的な北極点を超えて、磁場を自分の方へ引き寄せようとしているようです」

原因は、カナダの地下の外核でジェット噴流が起こり、磁場が薄く引き伸ばされ、弱まってしまったことだろうと、リバーモア氏は推測する。ここ数十年の北磁極の北方移動とジェット噴流が起きた時期は重なっている。だが、結論を急ぐべきではないとリバーモア氏は断っている。

「両者の間には関係があるかもしれませんが、はっきりとは言えません」

地磁気が逆転する可能性は?

カナダ天然資源省の科学研究員ロビン・フィオリ氏は、北磁極が今後どうなるかを予測するのは難しいとしている。現在の速度を保ったままシベリアへ向かうのかどうかもわからない。北磁極に関して唯一はっきり言えることは、予測がつかないということだ。

岩石を研究すると、磁極に関してもっと奇妙な歴史も明らかになる。過去2000万年の間、北磁極と南磁極は何度か入れ替わっているらしいのだ。この現象は、20万~30万年ごとに起こるとみられている。はっきりした原因は分かっていないが、北磁極が最近おかしな動きを見せているからといって、もうすぐ地磁気が逆転するわけではなさそうだ。

「地磁気が逆転している兆候はありません。起こるとしても、過去の地質学的記録から、少なくとも数千年はかかると思われます」と、ベッガン氏は言う。

フィオリ氏も、過去に北磁極が今よりもはるかにおかしな動きを見せていたことを示すモデルがあると付け加えた。例えば、1900年以前にも北磁極は激しく揺れ動き、カナダで何度か急カーブして南へわずかに向かっていた時期もあった。

「どれも、外核にある液体の流れが変化したことと関係しています」。最近になって急に活発化したようにみえる北磁極だが、これは今に始まったことではないのだ。

「過去数十年間と比較すれば、現在磁極の移動は速まっていますが、地球の長い歴史のなかではこんなことが何度あったでしょう」と、米ロスアラモス国立研究所の宇宙科学者ジョフ・リーブス氏は問う。

「今後どうなっていくかはまったく予想できません。わかっているのは、これまでと違う動きを見せているということです。つまり、科学的に興味をそそるということです」

(文 Maya Wei-Haas、訳 ルーバー荒井ハンナ、日経ナショナル ジオグラフィック社)

[ナショナル ジオグラフィック ニュース 2019年2月6日付]

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