ジャルジャルのネタは無尽蔵 1日1本、動画を公開
2018年末、霜降り明星の優勝で幕を閉じた漫才日本一決定戦「M-1グランプリ2018」。最終決戦まで勝ち残り、惜しくも3位となったものの、健闘ぶりが注目されたのが後藤淳平と福徳秀介のコンビ、ジャルジャルだ。
もともとコントを得意としながら、毎年M-1シーズンには漫才にも挑戦し、計4回決勝に進出。昨年は結成15年目で出場資格最後の年だった。
今回は1本目に「国名分けっこ」という言葉遊びを題材にしたネタ、2本目に自己紹介をめぐって小競り合いするネタを披露し、審査員の立川志らくが1本目に99点を付けるなど、高評価を得ての3位だった。
最後のM-1挑戦について、「10月くらいまで『キングオブコント』で優勝するつもりでやってきて、それがダメになってから漫才のネタを作り始めたんです。決勝に残って2本もやれたことがミラクル」と後藤。
福徳は「6位に終わった17年のM-1は評価されるぞという気持ちが前に出すぎていたのがよくなかった。18年は会場にいるお客さんを笑わせるつもりで、審査なんかどうでもいいという気持ちでやりました。優勝はできなかったけど、すがすがしい気持ち」と振り返った。
2人は高校時代にラグビー部で出会い意気投合。共に大学と並行して吉本総合芸能学院(NSC)に通った。当時は「人を笑わせたい思いだけで始めました」(福徳)、「ネタの作り方も知らないまま自由にやっていた」(後藤)という。そんな自由なネタ作りが、後に2人が生み出す笑いの独自性につながった。
「その場でできたアイデアやノリをしつこいくらいに発展させていく」(福徳)という即興スタイルは、芸人仲間からも評価が高い。サンドウィッチマンの伊達みきおは自身のブログに「特異な発想ですぐにストーリーに展開する力がすごい」とつづっている。
「お互いにここが面白いというツボが一致していて、信頼があるから、即興でも身を任せられるんです」(福徳)
ネタのバリエーションの豊富さも群を抜いている。18年2月にはネタ動画を毎日1本ずつ公開していく企画「JARU JARU TOWER」がスタート。39年までに8000本のネタ動画を積み重ねたタワーを完成させるプロジェクトだ。
「毎回単独ライブのたびに150本ほどネタの案が出て、10本ぐらいが残るんです。今まで捨てていた140本の案に着目して動画にしていこうと」(福徳)
気がかりなのは「キングオブコント」と声をそろえる。「漫才は10本くらいしかなくて、コントは8000本ある。にもかかわらず、中高生はM-1のイメージから僕らのことを漫才師やと思っているんです。早く何とかしないと」(福徳)
M-1への挑戦は終わったが、「ネタを作るのは楽しいので、すべての仕事はそれを軸にしたい」と後藤。2人のネタ作りはこれからも続く。
(日経エンタテインメント!2月号の記事を再構成 文/遠藤敏文 写真/中村嘉昭)
[日経MJ2019年2月15日付]
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