大ヒット映画「カメ止め」 製作費集めた起業家の志MotionGallery 大高健志代表(上)

大高健志 モーションギャラリー代表
大高健志 モーションギャラリー代表

2018年、製作費300万円で興行収入30億円超の大ヒットを記録して話題となった映画「カメラを止めるな!」。製作費の約半分はネットで小口資金を集めるクラウドファンディングの手法でまかなわれた。そのサイトを運営するMotionGallery(モーションギャラリー、東京・港、サイトも同名)を11年に設立したのが大高健志代表だ。外資系コンサルティングを経て東京芸大大学院の在学中に起業。「面白そうな方へ転がってきたら、ここまで来た」と語るキャリアの原点に迫る。

外資系コンサルを経て芸大大学院で映画学ぶ

モーションギャラリーのサイトを訪れると、映画をはじめ、写真やアート作品など2500を超える支援プロジェクトが並んでいる。提案者のメッセージと目標金額、期限が表示されており、支援したいと思ったら、まず会員登録をしたうえで、金額を決めて決済手段を入力する仕組みだ。

大高氏はクラウドファンディングだけでなく、プロデュース面でも作品づくりを支援する「MOTION GALLERY STUDIO」や、地域の様々なスペースで手軽に映画を上映できる「POPcorn」といった事業なども展開。日本の映画ビジネスを活性化する担い手として期待されている。

そのキャリアはユニークだ。「よく戦略的ですねと言われるんですが、全然思った通りじゃないんですよ」。大高氏はそう語る。正確には「途中まではシナリオ通りだった」と付け加えるべきだろうか。

小さい頃から映画が好きで、映画館に通いつめたが、いつしか興味は映画そのものより、描かれる社会の課題へ。早稲田大学の政治経済学部に進学し、ゼミでは公共哲学を学んだ。ジャーナリズムか、哲学などのアカデミズムの世界に進むことも考えた。

しかし、大学で現代アートにふれるようになってから「やはり自分には文字よりも視覚表現の方が合っているんじゃないか」と考えるようになった。見る人によって多様な解釈ができ、より自由に議論ができる。「議論の裾野が広がれば、社会に与えるインパクトも大きくなるのではないか」

ただ、現代アートや映画を専門的に勉強してきたわけではない。大学院で基礎から勉強したい、できれば好きなアーティストを輩出していたニューヨーク大学に行きたい。そのためには学費を稼ぐ必要がある。ここで映画会社やテレビ会社を選ばず、外資系のコンサルティング会社を選んだのは戦略的だったと言えるかもしれない。

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