肩書失って心の危機 マウンティングおじさんの末路
タイプ10・過去の肩書だけが自分の支え
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かかわると面倒くさい人はどこにでもいる。心理学者の榎本博明氏はその著書「かかわると面倒くさい人」(日経プレミアシリーズ)で、「何とかうまくかわす術を身につければ、心のエネルギーを吸い取られずにすむ」とアドバイスする。そのためにはまず「行動パターンやその背後で作動している心理メカニズムを知ることが必要だ」という。そこで、私たちの身の回りでよく見かける典型的な面倒くさい人10タイプを、同書から紹介する。今回が最終回だ。
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組織のしがらみがなくなれば面倒くさいこともなくなるものだが、定年後になお面倒くさい人がいる。
定年後の面倒くさい人の典型は、過去の肩書にしがみつくことで、自尊心を保とうとするタイプである。かつて管理職として権限をもち、それを自分の支えにしていた人物がとくに厄介だ。
昔の同級生の集まりでも、自分のかつての役職をちらつかせ、相手の役職より上だと思うと、偉そうな態度をとりたがる。かつての役職について持ち上げられると、じつに嬉しそうな表情になる。
このタイプは持ち上げられないと機嫌を損ね、その場の雰囲気が悪くなるため、だれも面と向かって文句は言わないものの、心の中では鬱陶しく思っている。
肩書など、組織内の人間、あるいは業者など利害関係者にしか通用しない。それ以外の人間関係においては、まったく無意味の記号にすぎない。そのことに気づかずにふんぞり返った態度をとるのは、滑稽きわまりない。
趣味の会に出ても、周囲になかなか溶け込まない。自分はそこらの連中とは違うといった意識があり、持ち上げられるのを当然とみなしているようなところがあり、雑用をしている人たちを見ても手伝おうとしない。
新参者なのに、雑用は自分がやるべきものではないと思っているかのような態度を通す。