肩書失って心の危機 マウンティングおじさんの末路タイプ10・過去の肩書だけが自分の支え

これでは溶け込むことを自分から拒否しているようなものだ。

町内会で嫌われるマウンティングおじさん

このタイプは、町内会やマンションの管理組合など地域の集まりの場でも、偉そうなもの言いをして、その場を仕切りたがるため、周囲から煙たがられる。周囲の人間は自分を尊重するはず、自分の意向は何でも通るはずと思っている。

それが通らないとふて腐れた態度をとったりして雰囲気を壊すため、仕方なく立ててやらねばならないので、いちいち面倒くさい。

このタイプは、定年後に突然面倒くさい人になるわけではない。すでに現役時代からその片鱗は明らかに見てとれる。

学生時代の友だちグループで集まっても、それぞれの役職や会社の知名度など、いわゆる社会的地位をやたら気にする。友だちづきあいでは社会的地位など関係ないはずなのに、相手が自分より社会的地位が下だとみなすとぞんざいな扱いをしたり、偉そうに説教したりする。自分より社会的地位が上だとみなすと、持ち上げるようなことを言う。

このような人物は、人間の価値を肩書で判断している。当然、自分の肩書が誇りであり、自分の支えになっている。

「自分の価値=肩書」として生きているため、肩書を脱ぎ捨てた「その人そのもの」の魅力はきわめて乏しいのがふつうだ。

対等なつきあいができない淋しい人生

職務上の役割を生きているだけで、私生活も含めた人生そのものを楽しく生きているといった感じがない。人間関係も、職務上の役割関係ばかりで、役割を脱ぎ捨てた裸のつきあいができない。非常に淋しい人生を歩んできたわけである。

ゆえに、このタイプは退職により肩書を失ったときが人生の危機となる。それまでと違って、自分の意向に何でも従い、ご機嫌を取ってくれる部下も業者もいない。だれも自分のことを持ち上げてくれない。欲求不満によりイライラが募る。

そこで、何かにつけてかつての役職をちらつかせ、偉そうな態度をとろうとする。それによって人間的魅力をますます失っていく。

友だちづきあい、趣味の会のつきあい、近所づきあいなど、みんな対等だと思ってつきあっている人たちにとって、このタイプは扱いにくく、できることならかかわりたくない、じつに面倒くさい存在と言える。

榎本博明
心理学博士。MP人間科学研究所代表。
1955年東京生まれ。東大卒業後、東芝勤務をへて都立大大学院心理学専攻博士課程中退。大阪大学大学院助教授などをへて現職。著書に「『上から目線』の構造」など。

※「かかわると面倒くさい人」(日経プレミアシリーズ)では、タイプ別の分析に加えて、その深層心理や上手なかかわり方、自分がそうならないために心がけたいことなど、多角的に「面倒くさい人」を掘り下げています。あなたの面倒くさい人タイプを診断する特設ページもご覧ください。

かかわると面倒くさい人 (日経プレミアシリーズ)

著者 : 榎本 博明
出版 : 日本経済新聞出版社
価格 : 918円 (税込み)

管理職・ミドル世代の転職なら――「エグゼクティブ転職」

5分でわかる「エグゼクティブ力」
いま、あなたの市場価値は?

>> 診断を受けてみる(無料)

「エグゼクティブ転職」は、日本経済新聞社グループが運営する 次世代リーダーの転職支援サイトです

NIKKEI 日経HR


今こそ始める学び特集
ブックコーナー ビジネス書などの書評はこちら
注目記事
今こそ始める学び特集