つまり「発生した事実がネガティブなものか、ポジティブなものか」ということが見られているわけではなく、「発生した事実のとらえ方や受け止め方によって、その人が他責的な思考をする人か、自責的な思考をする人かが見られているのではないか」ということです。
実際、同じ事実に遭遇しても、人によって受け止め方がまったく異なるのはよくあることです。特に、自分にとって不都合なことや不本意なことに直面したときに、その違いは顕著になりがちです。たとえば他責思考の人と自責思考の人では、以下のように受け止め方が異なります。
【他責思考】
●経営判断を誤った経営者が悪い
●会社の評価制度に問題があるから自分が正当に評価されない
●自分の考えを受け入れない上司が悪い
【自責思考】
●できるはずだった努力を怠った自分が悪い
●自分の能力に課題があるから成果につなげられなかった
●相手に理解できるように伝えなかった自分にも原因がある
●経営判断を誤った経営者が悪い
●会社の評価制度に問題があるから自分が正当に評価されない
●自分の考えを受け入れない上司が悪い
【自責思考】
●できるはずだった努力を怠った自分が悪い
●自分の能力に課題があるから成果につなげられなかった
●相手に理解できるように伝えなかった自分にも原因がある
予期せぬ問題が起こったときに、まずは、その原因が自分にあるかもしれないと考え始める自責思考タイプの人は、問題に対して当事者意識を持って取り組むポジティブな側面が評価される傾向があります。
逆に、他責思考タイプの人は、問題の原因を自分以外の誰かに求める傾向が強く、結果的に言い訳や自己正当化をしていると思われかねません。これは、面接などでは特に留意しておきたいポイントです。
「自分は幸運だ」と感じられる人の傾向
「他責思考・自責思考」という観点のほかに、「幸運・不運」のとらえ方の違いも重要です。
パナソニック創業者の松下幸之助さんの有名な逸話の一つに、面接で必ず「あなたは運がいいですか」と質問し、「運が悪い」と答えた人は、どれだけ経歴がよくても不採用にしたという話があります。「運が良い」と思える人は、たとえ失敗したり、想定外のトラブルに巻き込まれても、ものの見方を変えたり、さらなるチャレンジすることで事態を良い方向に切り開ける力があると見られていたようです。