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W杯だ!ラグビーを語ろう

ピアノから指揮へ はじまりは雨中のスクラム 指揮者・小澤征爾さん

2019/2/19

――2015年の前回W杯で日本代表が強豪・南アフリカを破った試合、ご覧になりましたか。

「録画だったけど、もちろん見ました。すばらしかった。すごいよね。あんなこと起きるとホント、思わなかった。日本はスクラム(の自軍ボール)をほとんど取ってたじゃない。あんなに取れるとは思わなかった。なんであんなにできたんですかね。ヘッドコーチだったエディー・ジョーンズもいいねえ。ボク大好き、あの人」

ラグビーは「中学、高校でやったら、それはすばらしい」

――エディー氏は日本の高校生への指導で、隣の選手の声をよく聞くコミュニケーションの大切さを強調していました。野球やサッカーより多い1チーム15人の選手が方向感を共有しながら動くラグビーは、オーケストラに通じませんか。

「そりゃ、そうです。まったくその通り。ラグビーはそうですよね。サッカーは違いますよね、全然。ボクはサッカー見ていても、ちっとも面白くない。みんな夢中になっているけど、何が面白いのかな。そりゃ、ラグビーの方がよっぽど面白いですよ。あのコミュニケーション。一斉にやる。ラグビーは、その良さですよ。またそれが、みんなうれしいんだよね。うれしいの」

――子ども時代にラグビーを体験することの価値はなんでしょうか。

「ラグビーは小学生にはあまり向いてないんだよね、ホントは。技術的に難しくて無理だよ。スクラムも3人、2人、3人と並んで組むでしょ。あれを教えるのは相当無理があるよね。中学生からがやっとですよ」

「だけど、中学、高校でやったら、それはすばらしい。仲間とお互いに肌をくっつけて『一緒に生きてる』という感じだね。ああいうのは大人になったらできないからね。あの時代にやっとくべきだよ。そうすると、まともな大人になるんじゃないですかね、やっぱり。地にちゃんと足が着いた、うわついてない。そういうよさがあるんじゃないかな、ラグビーには。そんなことないかな。お互いの痛みも肌でわかるし。演奏会などでよく感激して抱き合うときがあるじゃないですか。あれと同じ感じが、ラグビーにはあるからね」

――ラグビーは教育たりえますか。

「なるかもね。ボクにはなっていたかもしれない。ラグビーのおかげだってこともあるかもしれない、ボクには」

「ラグビーボール、昔は革だったの、知ってる? (現在主流のゴム素材は)やだよね。革の方がいいよ。革のボールが見たいよ、やっぱり」

小澤征爾
1935年(昭和10年)9月、旧満州国(現中国東北部)生まれ。52年に桐朋女子高校音楽科の1期生として入学し、故斎藤秀雄氏に指揮を学ぶ。59年に単身渡欧しブザンソン国際指揮者コンクール優勝。73~2002年ボストン交響楽団音楽監督、02~10年ウィーン国立歌劇場音楽監督。2019年は3月15~24日に3会場で開く小澤征爾音楽塾オペラ・プロジェクトの公演「ビゼー:歌劇『カルメン』」の一部のほか、サイトウ・キネン・オーケストラによる夏の「セイジ・オザワ 松本フェスティバル」などで指揮を予定している。

(聞き手 天野豊文 撮影 瀬口蔵弘)

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