また、OBに限らず、各界で活躍する人を講師に招くキャリア教育講座も毎年秋に開いている。18年はたまたま同校OBで、料理レシピを1分程度の動画で紹介するアプリ「クラシル」を運営するdely(デリー、東京・品川)の堀江裕介社長が登壇。生徒からは「僕も将来は起業家になりたいが、何を学べばいいですか」など質問が相次ぎ、盛り上がったという。

事業アイデアコンテストでファイナリストに

3つ目は海外研修だ。毎年3月、1~2年生の希望者30人程度が英国のオックスフォード大とケンブリッジ大を8日間の日程で訪れる。事前に英語などの研修を受けておき、現地では研究者や学生とグループ討議などを実施。帰国後は全校生徒の前で研究成果を報告する。「参加した生徒は目の色を変えて学ぶようになる」。大栗氏は効果を強調し、今後もグローバル教育を充実させたいと話す。

生徒の自主性に関しては18年、大栗氏を驚かせる出来事があった。群馬県内の社会人や大学生、高校生を対象に事業アイデアを競う「群馬イノベーションアワード2018」に、前橋高校の生徒が初めて参加し、ファイナリストまで残ったのだ。しかも1年生で、学校には何の相談もせず、一人でアイデアを考えたという。

アイデアは群馬県に外国人旅行者を呼び込むため、体験記を寄せてもらい、手軽に小冊子を作製するというもの。最近、若い女性の間ではやっているという、個人の趣味でつくる少部数の雑誌「ZINE(ジン)」の形式をとる。大栗氏は「私も会場まで見に行ったが、プレゼンは堂々としており、頼もしく感じた」と目を細める。

「文武両道とは、総合的な人間力を養うこと。勉強だけでは身に付かない」。大栗氏は強調する。多彩なクラブ活動や行事に加え、外部から刺激を与えることで、生徒が本来持っている能力をさらに引き出したい考えだ。

(村上憲一)

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