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熟成ブーム、肉の次はすし 50日寝かせたカジキの味

店主の木村康司氏は笑顔で握る

まず、臭みを取り除くことから始めた。内臓から腐ると考えて、徹底的に水洗いして寝かせたが、匂いはなくならなかった。冷蔵庫に長期間置くことも考えたが、単に腐敗するのを遅らせるだけだと気づく。魚の重さで傷まないよう肉のようにつるしてみるなど、試行錯誤の連続だった。

数年間の実験で得た結論は水と血を徹底して抜くこと。新鮮な状態で塩につけて水分を吸わせ、その後、薄い食塩水で塩抜きをするという方法にたどり着く。血管はもっとやっかいだった。まるで脳外科医のような繊細さで、毛細血管を1本ずつ針でトゲを抜くようにして取り除くという。

2010年に肉の熟成ブームが起きたが、魚の熟成は知られていなかった。ある日、有名すし店の大将が通う店としてテレビで紹介されたのをきっかけに徐々に客が増え、13年に「ミシュランガイド東京」で、星2つを獲得したことでようやく日の目をみるようになった。

熟成をうたうすし店は増えており、木村氏も自身が開発した熟成法を惜しみなく公開している。だが、手間がかかりすぎることもあり、なかなかまねをするところは少ない。どれだけ手間をかけた熟成すしを提供できるかでおいしさが違ってくる、という職人の誇りを持って、木村氏はさらに磨きをかけていく考えだ。

(ライター 寺尾豊)


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