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熟成ブーム、肉の次はすし 50日寝かせたカジキの味

「カンパチのにぎり」はマグロのよう

にぎりもいつも同じ魚が並ぶわけではない。

カンパチのにぎりが出されたとき、マグロの大トロかと思ってしまった。しかし、マグロは出さないといい、説明を聞いてカンパチであると認識する。内臓を取って血抜きをしたものを10日間寝かせ、傷んだ周囲を取り除き、塩をふって塩抜きを繰り返す。こうして熟成させると、マグロの脂ののった部分のようなピンク色になる。味わいも本来は淡泊なカンパチとは異なり濃厚。身はしっかりとしていて、長い時間をかけて熟成させているのに軟らかすぎない。

キモが透ける「カワハギ」

カワハギは4日間寝かせた。半透明な身の下にキモが透けて見える。木村氏は「シースルーすし」と呼んでいる。仕込みに特に手間がかかるのがキモの部分で、2時間かけて細かい血管を取り除くのだという。新鮮なものでも生臭さを感じさせやすいカワハギのキモだけに、ていねいな作業が必要になってくる。

コースを締めくくるのはカジキのにぎり。驚くことに50日間寝かせたものだという。少し濁ったようなオレンジ色をしている。最初は6キログラムあった身が、熟成作業で傷んだ部分を取り除く結果、最終的に1キログラム足らずになってしまう。さらに10日間熟成させることもできるが、「寝かせすぎると、どの魚も同じような味になってしまう」ので、最近は少し短めにして提供している。

熟成すしを提供できるようになるまでは、簡単な道のりではなかった。

開店は2005年で、当時は閑古鳥が鳴いていた。せっかく、いい魚を仕入れても、客が少なく腐らせてしまうことが珍しくなかったのだ。木村氏は「せっかく仕入れたのに捨てるのがしのびなく、腐りつつあったシマアジを開いてみたら背骨の周りが食べられそうな色をしていた」と当時を振り返る。おそるおそる口にすると、匂いは強烈だが、いままで味わったことのない深いうまみがあった。これがきっかけとなり、熟成すしに取り組み始めた。

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