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熟成ブーム、肉の次はすし 50日寝かせたカジキの味

2019/2/17

「すし 喜邑」のカジキのにぎり

牛肉で定着した観のある「熟成」がすしにも広がり始めた。もともと魚肉はさばいてから数日間寝かせたほうがおいしくなると言われることが多い。多くのすし店が新鮮なネタを売り物にしている中、東京・二子玉川にある「すし 喜邑(きむら)」は10年以上にわたって熟成ずしで勝負している。

東急電鉄二子玉川駅から歩いて10分、住宅街の中にぽつんと店がある。昼夜同じメニューで、お任せの1コースのみ(税込み2万5千円)。

「喜邑」のカウンターに保冷ケースはない。熟成されたネタは木箱に並べられ、握る直前にまな板の上で切り分けられる。サクを見ても熟成したネタは種類の違いが分かりにくい。にぎりの前に出されるつまみも同様で、運ばれてきて説明を聞いて初めて、何が出されたのかが分かる。店主の木村康司氏の口癖は「見た目は良くないけれどおいしいのがいい」だ。

「ワタリガニの塩辛」は人気のつまみ

つまみとして人気なのが「ワタリガニの塩辛」。まずえたいの知れない見た目に戸惑う。だが、少しつまんで口に運べば、濃厚なうまみに驚く。作り方はかなり複雑だ。生きたままのカニを塩漬けにして数日間寝かせ、次に塩水で塩を抜く。さらに日本酒で洗う。胃袋、腸を別にして酒盗を作り、これに内子、カニミソを合わせ、ブランデーを入れて仕上げる。単に熟成させるだけでなく、一品に仕上げるには工夫が必要だ。仕入れの関係でいつもコースメニューの中に並ぶわけではないという。

凍っている「イカのワタ」

「イカのワタ」は見た目はチョコレートのよう。凍っているのを舌の上で溶かしながら味わう。臭みを取るのが難しく、塩をふって1週間置き、これも塩水で塩抜きしてから5日間寝かせる。さらに冷蔵庫で2日間乾かし、味噌床に1週間漬ける。取り出して2日間乾燥させて、冷凍庫に入れて固めるという。こうした仕込みに毎日数時間かかるため、「豊洲市場に出かけるまで2時間寝られればいいほう」(木村氏)だという。

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