出勤を望んでいる社員を強制的に休ませるわけですから、補償が必要になってきます。労働基準法では使用者(会社)の責任による休業の場合、平均賃金の6割以上を払うよう定めており(休業手当)、会社は少なくともこの手当を支給する必要があります。

 しかし、休業手当では給与の6割しか出ませんので、実際は社員の側で年次有給休暇を取得する場合が多いかと思われます。その場合には休んだ日も給与が支払われることになります(ただし、会社が一方的に年次有給休暇を消化させることはできません)。入社したばかりで年次有給休暇取得の権利が発生していない社員、すでに年次有給休暇を消化してしまった社員などは、休業手当を請求することになるでしょう。

 なお、前述した新型インフルエンザの場合には就業禁止が法定されているのでこれは使用者(会社)の責任にならず、休業手当は不要です。もちろん、社員が年次有給休暇を使うことは問題ありません。

快復するまで休養、会社も奨励を

 先月、インフルエンザに罹患していた女性社員が地下鉄日比谷線の線路に転落して死亡するという痛ましい事故が起きました。転落とインフルエンザとの因果関係は判明していませんが、もし女性が健康な状態であれば発生していなかった事故である可能性も否定できません。

 インフルエンザやノロウィルスなど感染性のある病気にかかってしまった場合には、快復するまでしっかり休みましょう。会社もこれを奨励することがかえって生産性向上につながります。気合や根性ではインフルエンザは克服できないのです。

志賀剛一
志賀・飯田・岡田法律事務所所長。1961年生まれ、名古屋市出身。89年、東京弁護士会に登録。2001年港区虎ノ門に現事務所を設立。民・商事事件を中心に企業から個人まで幅広い事件を取り扱う。難しい言葉を使わず、わかりやすく説明することを心掛けている。08~11年は司法研修所の民事弁護教官として後進の指導も担当。趣味は「馬券派ではないロマン派の競馬」とラーメン食べ歩き。
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