生活者が長期応援株主に 企業を支えよう(澤上篤人)さわかみ投信会長

日経マネー

写真はイメージ=PIXTA
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澤上篤人(以下、澤上) 以前から書いてきたように、株式市場は相当に荒れだしてきた。といってもわれわれ長期投資家にとっては、待ってましたの買い場が到来しただけのこと。

長期投資では目先の下げやら相場見通しなど、何の意味もない。そこで今回は、壮大な構想を草刈と話し合ってみよう。

世界は短期投資家ばかり

澤上 ニューヨーク(NY)市場はじめ各国の株式市場では、急落しては小戻しする振れの頻度が激しくなっている。世界的なカネ余りでバブル気味に買い上がってきたものの、そろそろ世界の株価全般が高値警戒ゾーンに入ってきたのだろう。

草刈貴弘(以下、草刈) 実体経済に何か大きな変化があるのかと言えば米中の貿易問題。確かに企業にとっては不透明な状況が長引くことが一番厄介な問題。でも、市場はそれを問題視しているというよりは、景気がいつ転換するかに神経質になっていますね。米国金利の上昇もそろそろ上限と考えるなら、これまでのような順風満帆とはいかず、さすがに好景気がいつまでも続くわけがないのでそろそろ逆回転になる。早めに降りておこうという心理が働いているようです。

澤上篤人氏(撮影:竹井俊晴)

澤上 もう一つ指摘したいのは、コンピューターによる高速売買がやたらと存在感を高めていることだ。背景には、毎年の成績を追い掛ける資金運用に走っている年金はじめ機関投資家の巨額資金がある。

もちろん、コンピューターは誰かがプログラミングしなければならない。そのプログラミングだが、狙いはマーケットでの価格変動を捉えて値ザヤを抜いていくところにある。つまり、ディーリング運用を目的としている。

ディーリング運用では相場動向が上でも下でも構わない。値幅さえ稼げればいいのだ。それに企業の株価が玩具のように翻弄されている状況は、どう考えてもおかしな現象である。

草刈 確かに高速売買によって価格変動が増幅されるということはあるかもしれません。それ以上に私が問題だなと思っているのが、パッシブ運用の比率の高さです。多くの機関投資家がパッシブ運用へシフトしてきたようですが、市場が弱気になった途端に皆が逃げるように資金を引き揚げてしまう。これによりそれまでとは逆回転となり、売られるから下がる、下がるから売るという負のスパイラルに陥ってしまう。

特に米国市場では「GAFA(グーグル、アップル、フェイスブック、アマゾン・ドット・コム)」に代表されるテック銘柄に資金が集まり市場を押し上げてきました。それが市場平均を引き上げパッシブ運用に恩恵をもたらしてきたわけです。ところが逆転し始めると途端に狼狽(ろうばい)が広がる。これを高速売買が増幅させているというのが今の状況ですね。

以前から澤上会長は長期投資家だけの市場があれば面白い。しかもそれを日本につくってしまえば世界中の長期的経営の優良企業が日本に上場し、日本の資本市場がとてつもなく厚みのあるものになると訴えていますよね。

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