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トンカツ好きなら塩で食べて 衣サクサク肉の甘み増す

魅惑のソルトワールド(26)

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NIKKEI STYLE

今回のテーマは「トンカツ」。皆さんはどのくらいの頻度でトンカツを食べるだろうか。私は疲れて元気を出したい時や、何だか今日はガッツリ系だなという時に、トンカツを食べたくなる。あの、カラッと揚がった香ばしいサクサクの衣に、やわらかい食感の豚肉、かむほどにほとばしる肉汁ととろける脂の甘さ。食べ終わったあとの満足感はたまらない。

そもそもトンカツとは、英語の「cutlet(肉の切り身)」が語源とされる。カツレツは日本には江戸時代末から明治時代初期のころに伝達されたようだ。当初は「ビーフカツ」と「チキンカツ」が主流だったが、明治時代中期に銀座の洋食店「煉瓦亭」で「ポークカツレツ」が提供されたのが、現在のトンカツの起源とのこと。そして昭和初頭に上野御徒町の洋食店で「豚カツ(トンカツ)」として売り出されたことをきっかけに、それまで「ポークカツレツ」というちょっと上品なメニューだったものが、徐々に「トンカツ」という名称で一般庶民にも浸透していったようだ(諸説あり)。

マルハニチロの調査によると、好きなカツ料理を聞くとトンカツと答えた人が約7割にのぼる(2017年11月28~29日に実施、全国15~59歳の男女1000人対象)。「チキンカツ」「ハムカツ」などの強豪を抑えて堂々の1位だ。トンカツはスーパーマーケットの総菜コーナーや弁当店にはほぼ必ずあるし、ファミリーレストランや洋食店での定番メニューだし、トンカツ専門店も数多く存在する。

トンカツ専門店の名店は全国各地にあるが、激戦区の1つが東京・蒲田だ。トンカツ専門店の有名店である「丸一」「檍(あおき)」「富善」(2018年に閉店)が集結し、そのほかのトンカツ店も多く、ファンの注目を集めるエリアだ。

それぞれの店が独自のこだわりを持ち、いずれも素晴らしいトンカツを提供してくれているのだが、ここで注目すべきは、その食べ方だ。

トンカツを食べる時の調味料と言えば、まず思い浮かぶのは「ソース」であろう。とんかつ専用と銘打ったソースまで広く流通しているくらいだ。しかし、このトンカツのお供として存在感を増しつつあるのが「塩」だ。「トンカツを塩で食べる」スタイルが徐々に浸透してきているのだ。「丸一」でも「檍(あおき)」でも、卓上調味料入れにあるソースの横にはしっかりと「塩」が鎮座していた。

そもそも、なぜ塩でトンカツを食べるようになったのだろう。いくつかの要因が考えられるが、最大のものは豚肉そのものの進化だと思われる。

鹿児島県の黒豚を筆頭に、平牧三元豚、沖縄県のアグー豚など「ブランド豚」の台頭である。それぞれの銘柄が品種や飼育方法、飼育期間、飼料などにこだわり抜いて研究や改良を重ねた結果、豚肉のおいしさが格段に向上したのだろう。脂肪は甘みを感じさせ、肉はうまみを含むものが多い。一方、野菜と果物と酢と糖が原材料であるソースには、甘さと酸味と塩味が含まれている。揚げ物の油っこさをさっぱりとさせたり、脂肪の甘みを強調したりと、トンカツとの相性は非常に良い。

だが、ソースそのものの味が濃く、「ソース味」が勝りがちだ。また、液状のソースをかけると、揚げたてのサクサク食感が損なわれてしまう気もする。そこで塩の出番となる。

塩は素材のうまみや甘み、香りなどを引き立てるのが得意だ。さらに、衣のサクサク感を損なうことがない。こだわり抜いた上質な豚肉のうまみを感じてほしい、揚げたてのサクサク感を味わってほしいと願う飲食店側にとって、塩をソースの横に置くことは、きっと自然なことだったに違いない、と私は推測している。

では実際に、どのような塩が向いているのか。使用する豚肉やパン粉、揚げ方によっても異なるが、今回はトンカツ専門店で実際に提供されている塩をご紹介しよう。

●赤穂の天塩(兵庫県)

オーストラリア産の完全天日塩ににがりを加えたのち焼いて仕上げた塩。適度なしょっぱさとほのかな苦味に、ほどよいうまみを感じる。トンカツをさっぱりとさせてくれる

●ヒマラヤピンク岩塩(パキスタン)

ヒマラヤ山脈から採掘されるピンク色の岩塩。鉄分を含み、放牧飼育でよく運動した豚肉との相性が良い。するどいしょっぱさが脂の甘みを引き立てる

●粟国の塩釜炊き(沖縄県)

竹に海水をかけ流して濃縮する伝統的な製法で生産される海水塩。力強いしょっぱさと苦味、酸味、うまみが特徴。トンカツをさっぱりさせつつうまみを濃厚にしてくれる

●モンゴル岩塩 天外天塩(内モンゴル自治区)

モンゴルで採掘される岩塩を一度溶かして不純物を沈殿させたあと、再度結晶させた塩。するどいしょっぱさがトンカツの脂の甘さをひきたてる

●インカの天日塩(ペルー)

アンデス山脈の麓にあるマラス村でインカの時代から生産されている塩。地下から湧き出る塩水を塩田に引き入れ、太陽と風の力で結晶させる。まろやかなしょっぱさと強い甘味が、トンカツの身の甘さを引き立てる

●地中海クリスタルフレークソルト(キプロス共和国)

地中海の海水を塩田に引き入れ、太陽と風の力だけで濃縮・結晶させた完全天日塩。力強いしょぱさと、ほのかな苦味がある。ピラミッド状の大きな結晶も特徴的で、トンカツのサクサクした食感をさらに強調する

●ヒマラヤブラックソルト(パキスタン)

高温のマグマの熱で焼かれたことによって硫黄を多く含んだ岩塩。温泉卵のような味と香りが楽しめる。トンカツの身の甘さを強調してくれる

「ヒマラヤブラックソルト」「インカの天日塩」を除く塩に共通するのは、塩味が強く、ほのかな苦味があるということだ。力強いしょっぱさと苦味によって衣の油っこさを緩和しつつ、脂の甘味を引き出すからだと思われる。また、中には酸味がある塩も含まれており、これもまた揚げ物をさっぱりさせる効果がある。「ヒマラヤブラックソルト」は硫黄の香りがする一風変わった塩だが、これはこれで豚肉の身の甘味を引き立ててくれる。「インカの天日塩」も甘味が強い塩なので、肉の甘さを引き立てる。

豚肉が多様化したように、塩も多様化している。ぜひ色々なトンカツ×塩の組み合わせを試して、自分なりのベストを見つけてほしい。

(一般社団法人日本ソルトコーディネーター協会代表理事 青山志穂)

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