大容量のミニ財布、小さくても小銭やカードはしっかり
特集 愛用者が急増 タイプ別ミニ財布(中)
最近、長財布に代わる勢いで急速に人気が高まっているミニ財布を、タイプごとに分けて紹介していく。前回紹介した「極薄の2つ折り財布」に続く第2回は、「ミニ財布は小銭やカードがあまり入らない」という常識をくつがえす「大容量のミニ財布」。手のひらサイズなのに、小銭やカードをしっかり収納できて使いやすい、各社独自の製法に注目したい。
ミニ財布なのにカード10枚収納
カードの収納力を高めたミニ財布が、キプリスの「コンパクトハニーセル財布」。ハニーセルという独自構造のカードポケットを搭載し、薄型のミニ財布でありながらカードを10枚収納できる。カードは一枚一枚縦方向に入れる構造のため、視認性が高く取り出しやすいのも特徴だ。
紙幣は2つ折りにすることで内部に収納可能。コインポケットは背面に搭載する。あまり多くは入らないが、独立しているため財布を開かずに小銭を出せるので便利。
主素材にはシルキーキップと呼ばれる革を使用。革の繊維組織にオイルをたっぷりと染み込ませ、シルクのようにソフトでサラッとした手触りを実現している。使うほどに艶が増し、味わい深く手になじんでいくという。
「ミニ財布であってもカードを多く持ちたいという方に支持されています。購買層は管理職や経営者などビジネスエグゼクティブに評価が高く、年齢層も30代後半から50代後半までと幅広い」と話すのは、キプリスを展開するモルフォ広報担当の石岡晃二部長。カードの収納に優れているため、現金よりもカード派という人たちから注目されているようだ。
取り出しやすい大容量のコインポケット
まるでハンモックのようにコイン収納部がガバッと大きく開くことから、小銭の出し入れがしやすいと評判だったカルトラーレの2つ折り財布「ハンモックウォレット」。今回紹介するのはハンモック構造のコインポケットを搭載しながら、小型化に成功したコンパクトな3つ折り財布「ハンモクウォレットコンパクト」だ。
最大の特徴であるコインポケットは、財布を開くと同時に浮き上がる構造になっている。開口部が大きいためコインの視認性が高く、すばやく取り出せる点は小型になっても損なわれていない。15枚程度の小銭をしっかり収納できるうえ、スマートな会計ができる。
紙幣は折らずに10枚程度収納可能。カードスペースは2箇所あり、財布のホックを開くとすぐに現れる前面に4枚、コイン収納部とお札収納部の間にあるスペースに1~2枚を収納できる。
表革には、傷や汚れが目立ちにくいように型押し加工を施した国産牛革を使用し、上質感を演出している。
「ハンモクウォレットコンパクトの2018年の売り上げは、17年と比べて30%増だった」と話すのは、カルトラーレを展開するエイムのプロダクトデザイナー HARU氏。2つ折りのハンモックウォレットを発売した6年前は、ミニ財布はガジェット好き男子などがメイン購買層だったが、最近は男女・年齢問わず幅広い層に支持されているという。
ラウンドファスナーミニ財布に札入れを搭載
これまでの名刺入れサイズのラウンドファスナーミニ財布は、カードと小銭の収納に特化しているのが常識。そこに紙幣を入れるには、3つに折り畳む必要があった。その手間を解消したのが、今回紹介するエムピウの「ゾンゾ」だ。
ラウンドファスナーミニ財布をガバッと開く構造にして、中央に札入れを搭載。紙幣サイズのレザーで挟み込む仕組みとなっており、札を折り畳まずに入れられる点が特徴となっている。紙幣は10枚収納でき、ファスナーを閉じる際は紙幣収納部の先端をクルッと折り返すだけなので手間もかからない。
財布を開いた左右にコインポケットがあり、それぞれ15枚程度の小銭をしっかり収納できる。カードポケットも左右2カ所にあり、3枚ずつ入れられる。ただし札を出し入れする際、持ち方によっては右のコインポケットから小銭がこぼれ落ちる可能性もあるので注意が必要。右のコインポケットはカード収納として使えば、多くのカードを収納でき、小銭が落ちる心配も少なくなるだろう。
革にはイタリア製のタンニンなめし革であるミネルバリスシオを使用。使うほどに艶が出て、深みのある色合いになるという。これを外装だけでなく内装にも用いることで、高級感が漂うミニ財布に仕上がっている。
「2018年の売上総数は17年の約1.3倍。購買層は30~40代の男性が多い」と話すのは、エムピウの村上雄一郎代表取締役。サブ用に購入する人が多いそうだが、必要十分な収納力からメイン財布として使っているユーザーもいるという。
(ライター 津田昌宏、写真 野町修平=APT、スタイリング 宇田川雄一)
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