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引き出しつつ運用する老後 投信は使いやすい金融商品

日経マネー

2019/2/26

写真はイメージ=PIXTA
日経マネー

前回「老後資産を枯渇させない 資産の引き出し方はどう選ぶ」で、日本であれば、「退職時点の資産の3.9%を年間の引き出し金額とすれば、定額引き出しでも9割の可能性で資産が枯渇しない」ことをお伝えしました。今回は、この持続可能な引き出し率が4%として話を進めます。

次に、運用収益率をどう考えるべきでしょうか。結論から言えば、4%引き出しに見合うのは3%の収益率です。この2つを組み合わせれば、「資産を毎年1%ずつ減らして生活する」のを前提にした「逆算の資産準備」がしやすくなります。

■「収益率3%」の意味とは?

イラスト:小迎裕美子

なぜ3%運用なのでしょうか。前回述べたように、定額引き出しは毎年の収益率の並び方によって残高が大きく変動するという「収益率配列のリスク」を抱えています。定率引き出しはこれを回避できる半面、引き出す額が変動するという難点があります。これを抑制するためには、リスクの少ない運用をすることが大切です。

しかし、これがなかなか難しいのです。多くの方が運用を考える時、「いくら儲かるか」が先に来ます。しかし、「使いながら運用する」退職後の生活では、引出率との兼ね合いが重要なのです。

例えば、4%で引き出しつつ年率10%で運用すれば、資産は6%ずつ増えます。しかし高い収益率は高いリスクを内包しますから、結果として引き出す額が大きくぶれます。結局、引出額の安定を求めるのならば、極力リスクの小さい運用、つまり運用収益率を低く設定することが必要になります。

極論ですが、引き出し額の安定だけを考えれば収益率0%の現金とか預金が良いことになります。しかし、それは運用をしないことですから「長生きリスク」に耐えられません。長生きリスクに耐えつつ引き出しを安定させるなら、引出率より少し低い運用収益率を求めることが肝要なのです。

4%引き出しなら3%で運用すれば、資産は平均で毎年1%ずつ減ります。それでも3000万円の資産が15年間で2580万円に減る程度と分かれば、十分に受け入れられるのではないでしょうか。

■分散投資の本当の重要性

マーケットが大幅に下落すると、「運用に意味はあるのか」とか「3%運用はできるのか」と思われがちです。ここで重要になるのが、分散投資と長期投資の考え方です。

分散投資の重要性を語る上で、「卵は1つの籠に盛るな」という格言があります。これは「卵を1つの籠に入れて落としたら全て割れてしまうが、3つに分けていれば残りの2つは無事だ」とよく説明されます。しかし、全部割れても3分の1割れても、損は損です。単に分散しておけばよいというものではありません。

格言の裏には、「残った卵がヒナになって、親鳥になってさらに卵を産む」というプロセスがあります。つまり、落とさなかった卵を長期に持つことで収益が生み出されるわけです。言い換えれば、長期投資が合わさってこそ、分散投資には意味があるわけです。

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