2019/2/17

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次に金利0.5%のケースを見ると、反対の結果になる。2年目に実行したときの負担軽減額は約83万円。遅らせるほど効果は高まり、11年目だと約147万円になる。2年目にするのより約60万円有利だ。

金利0.88%で効果が均衡

試算によると、利息軽減と減税縮小の効果がほぼ均衡するのは、金利が0.88%のケースだった。ローン金利がこれより高い場合は早めに繰り上げ返済するのが効果的。反対に金利が極めて低い場合、時期を遅らせるのが選択肢になる。

そうはいっても変動金利型の場合、金利がずっと同じだとは限らない。そこで金利が将来上がって利息負担が膨らむリスクを考えて試算した(図B)。当初の金利水準を0.5%、4年目、7年目に段階的に上がるとしている。

まず0.3%ずつ上がるケースを見ると、何年目に繰り上げ返済を実行するとしても負担軽減額に大きな差は見られない。例えば2年目は約342万円、11年目は約340万円だ。

一方、0.5%ずつ上昇するケースでは、実行時期を遅らせると負担軽減額が減りやすい。2年目が約525万円であるのに対して11年目は約479万円。金利が大幅に上がるリスクが出てきたら「早めに繰り上げ返済をするか、固定金利型へ借り換えるのが無難」(小松氏)といえそうだ。

繰り上げ返済は試算例のように1度にするとは限らない。複数回に分けて実行することもある。その場合の負担軽減額を参考に表Cに示している。掲載した3つのケースの中では3回に分散して返済する場合が比較的有利だった。

長期的な視点で返済計画を

様々なケースで負担軽減効果が高いタイミングや返済方法を探ってみたが、あくまでも一定の条件の下で試算したもの。借入額や返済期間、繰り上げ方法など条件が変われば、効果は大きく変わる可能性がある。

住宅ローンの返済は多くの家庭にとって長期間、家計の中で大きな割合を占める支出だ。FPの豊田真弓氏は「子どもの教育資金、自分の老後資金と、他に長期的に備えるべきお金がある。それを踏まえてローンの返済計画を決めることが重要だ」と指摘する。

繰り上げ返済は負担軽減に有効だが、だからといって無理して返済額を増やすのは得策ではない。教育資金作りにしわ寄せがいくような状況を避けたい。

住宅ローンは金融機関同士が競い合い、金利を極めて低い水準に設定する傾向が続いている。「低金利でこつこつ毎月返済しながら、余裕資金を繰り上げ返済以外に回す選択肢もある」(豊田氏)。積み立て型の少額投資非課税制度(つみたてNISA)などの優遇税制を活用して積み立て運用することを併せて考えたい。

(岡田真知子)

[日本経済新聞朝刊2019年2月9日付]