2019/2/13

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もう一つ、個人が負っているのが為替変動のリスクだ。追加型株式投信のうち、何らかの形で為替リスクのある投信は18年末時点で残高全体の3分の2を占めていた(グラフC)。大部分の個人は投信以外に預貯金などの円資産を保有しているので、この数字だけで為替リスクが過大だと決めつけることはできないが、シニア層ならもう少し慎重な商品選びをした方がよいように思われる。

「分配金」「高リターン」の果て

それにしても、なぜ個人の保有投信は高リスクものに偏りがちなのだろう。様々な理由が考えられるが、「投信販売会社の販売姿勢にも問題がある」(吉井氏)という見方がある。

つまり、これまで多くの金融機関は個々人のリスク許容度などに合わせて投信を提案するよりも、「毎月の高額分配金」や「高い期待リターン」といった分かりやすい売り文句で投信をシニア層に勧めてきた結果、個人の保有投信は偏ってしまった、というのだ。過去の売れ筋ファンドが毎月分配型と、テーマ型投信に集中しているのがその表れだ。

もっとも、金融庁が運用実績に見合わない高額分配金を出してきたファンドをやり玉に挙げて以後、毎月分配型は投信販売の表舞台から退きつつある。18年は売りにくくなった毎月分配型に代わってテーマ型に力を注いだ販売会社もあったようで、年間の売れ筋ファンドの上位には多くのテーマ型が登場した。個人の保有投信はリスクの高いファンドにさらに偏っていきかねない。

もちろん、何もかもが販売会社のせいであるはずはなく、問題は投資家自身のリテラシー(知識や理解力)にもある。投信は最も身近で透明性が高い資産運用の有力な手段。様々なリスクを理解したうえで使いこなせるよう、私たちも努力が欠かせない。